人間は、現在でもほとんど海辺に住んでいる。
星の観測による航海術のネットワークが構築された後に、外洋を利用した交易のために海辺に都市が形成された。
農村と都市といういう場合、ほとんどの農村は海辺ではなく山間部に位置している。
日本ではこの100年間、もっとも人口が移動したのは都市ではなく農村部である。
かつて農村での出生率が高かったのは、乳児の死亡率が高いにもかかわらず、数百万人の海外派兵を維持するためであった。アフリカでは21世紀になってからも乳児の死亡率が増加するとともに、出生率も増加している傾向は、戦争による貧困が主原因である。
この理由はいずこも同じである。
「日本は明治時代からもともと子どもをたくさん産む社会で、ずっと生活水準が満たされていない段階でもたくさん育てていた」という小泉首相の発言(2005年12月24)に見られる文化論的分析は統計学的に正しくない。
戦後の農業生産人口は、改善された農業テクノロジーによって本質的に過疎化されたのである(工場が生産力を増強するために人員を削減した場合は、過疎化ではなく合理化と言われる)。
人口増加とは都市での安定した出生率が積算された結果であるように、農村の過疎化とは必要とされる食料自給率が積算された結果である。食料は今やエネルギーのように加工され保存され蓄積され、世界全体では過剰生産されて久しい。 Y.K