「郷に入っては郷に従う 」とは、新しい土地に入れば、
その土地の風俗・習慣に従うのが処世の法のことである。
その法の起源は律令制であり、地方行政における社会組織の最小単位であった。
「土地と人民は王の支配に服属する」という理念を具現化しようとする体制であった。
非常に精緻な官僚機構であった。
21世紀の農村と都市の対立は増大している。
なぜならこの郷が、
地方自治の要である自治振興区の単位として生き残っているからである。
郷の構成員にも異なった郷の間にも互いに情報を共有する習慣がない。
まして情報の公開は望めない人口1万人以下の中山間地域は無数にある。
それらは財政難を理由に合併され続けている。
そして、21世紀の小さな政府と地方自治にあって、
自治振興区は区長制度と共に
社会組織の最小単位として曖昧に位置づけられている。
日本版グローバリズムは加速するしかない状況下で、
同時にこの曖昧さのに郷システムが密かに温存されている. Y.K