見えないTRIMTAB

テンセグリティモデルにおいて2点間距離を縮小させると球の直径は拡大されるという原理からテンセグリティ構造では全体の張力を高めたい場合は一カ所の張力を高めるだけで十分である。
これはわれわれの常識に反する現象の一つである。
私は1995年に発見したこの原理から各張力材の張力調節に
複数のターンバックルを使用しないデザインを構造デザインに応用している。 

バックミンスター・フラーの初期のテンセグリティ構造を注意深く見ると、
複数のターンバックルが使用されていることがわかるだろう。
ターンバックルを使用するデザインはかなりの重量増加になる。
スネルソンのテンセグリティ彫刻が肉厚のある太いステンレスパイプを使用している理由は、
屋外での耐久性と彼の美的な嗜好からであるが、
ターンバックルを各ステンレスパイプの内部に収納するデザインを工学的に
かつ美的に解決するためである。
結果的に各パイプの端部はすべて閉じられたデザインとなる。
テンセグリティ構造の理解とそれに付随するデザインは、
こうしたジョイントの設計を見れば十分である。
つまりテンセグリティデザインとは軽量化そのものである。
ステンレスワイヤーの伸び率は炭素繊維をはるかに超えているにもかかわらず
彼は重量増加を気にしない。
ステンレスワイヤーはフラーの初期のテンセグリティでは先端的な素材であったが、
素材革命と連動する構造デザインから見れば、
スネルソンは少なくとも芸術のために軽量化を放棄している。

しかし、テンセグリティは彫刻ではない。
テンセグリティ構造全体が本質的で効果的な
ターンバックル機能を持っている。
テンセグリティは本質的にジョイントレスである。
これは見えないTRIMTABである。  Y.K 

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