越冬のために晩秋には種々のカメムシが飛来する。
山間部にある私の家に種々のカメムシが多数飛来する背景には、黄色光や近紫外線を出すライトがあるだけではなく、暖房によって赤外線を放出している以上に、何か最適な環境条件があるにちがいない。壁の色が茶色く見えるほどに密集したときから、私は彼らの行動を記録している。日本ミツバチの観察と同じように。
チャバネアオカメムシの場合、産卵は5月下旬頃からで、産卵場所はクワ、サクラ、ヒイラギ、ヤマウルシなどであるが、主たる繁殖はヒノキ、スギであり、その産卵は6月からであることがわかった。カメムシの増加は広葉樹の伐採と針葉樹林の人工林に起因している。
人間には臭いだけの迷惑千万のカメムシ。彼らは自身の発する警報フェロモンで集中したり拡散したりするが、あまりに濃度がある場合は彼らでさえ死に至る実験はペットボトルで再現できる。
ところが、ある環境下では、彼らはとても有用である。ヒメハナカメムシ類はアザミウマ、ハダニなどの微小な農業害虫の有力な捕食性天敵として近年注目されているらしい。
例えば、赤ピーマンは他の色のピーマンよりも栄養価が一番高く抗ガン作用があるので高価な野菜であることが知られているが、その赤ピーマンをハウス内で栽培する場合、人為的に数百匹のヒメハナカメムシを放飼する。
有効なカメムシ対策の農薬の化学合成も複雑だが、土着天敵昆虫の有効なメカニズムを解明する作業も複雑だ。カブリダニは、ハダニの発生を抑制し、シナクダアザミウマは、ヒラズ ハナアザミウマの発生を抑え、最終的にヒメハナカメムシに補食されるといった相互作用を生成する閉じたハウス内の<共有するシステム>の発見だ。
こうしてアブラムシを捕食させる減農薬栽培がメハナカメムシによって実績を上げている以上、専門業者がカメムシを特別に養殖させて販売しているにちがいない。
<共有するシステム>と私の家では特に豊富だということは今のところ無関係である。チャバネアオカメムと交換可能な条件が未だ発見されていないからだ。しかし、チャバネアオカメムがこれまでのようにひたすら悪臭を放つ悪玉虫ではないかもしれないことは、素晴らしいことだ。彼らは資本主義によってせん滅されるのではなく保護される可能性がある。 Y.K.