位置センサー

雲の中またはその近くにいると雲は見えない。

雲には雲の境界線が観察者から見えるまで雲という対象物と概念は存在しない。それまではだだの水蒸気である。

観察者も一緒に雲の中に入っている場合、基準を外に探さなければならない。このような場合に基準になるのは地球という大気圏である。
さらに観察者も一緒に大気圏内に入っている場合、基準を外に探さなければならない。このような場合に基準になるのは宇宙である。
宇宙に対する姿勢や位置を正しく知るにはセンサーが必要である。
人間の場合、三半規管による姿勢制御で90度の重力との相互作用が学習することなく予め装備されている。しかし、高速で移動すると姿勢や位置を正しく知るこのセンサーはまったく役に立たなくなる。つまり宇宙に対する姿勢や位置を正しく知るにはセンサーを外部化しなければならない。天文学や航海術から幾何学が発展したのはこうした宇宙を基準とした絶対的センサーをデザインする必要があったのである。局所的な場所にいても地球を外から見るオペレーションを純化した。

しかし、飛行するどんな動物や昆虫でも生得的に装備された宇宙を基準としたセンサーが機能する。
たとえば、昆虫は偏光を識別できる。昆虫の複眼の中には、特定の偏光方向に敏感な視覚細胞が色々な方位に規則正しく集合している。また昆虫は自然界の偏光をうまく利用している。例えば、ミツバチは太陽の偏極を基準にして太陽の見えない曇天であっても方向を間違えないで長い距離を飛行できる。また、ある種のカゲロウは生殖期になると水溜まりの固有の反射光の偏光を求めて集合する。
昆虫には天文学や幾何学はなくても宇宙に対する姿勢や位置を正しく知るセンサーが予めデザインされている。 Y.K

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