鉄は、一度人類によって純度が高められると、
何度も溶解されて地表を無限に均一に循環する金属元素である。
(現在、地球表土で均一化が妨げられているのは、
軍備と局所的な戦闘地域に過剰な鉄が集中しているからである。)
たたら製法では、鉄1トンの生産には木炭5トンが、
つまり25年以上成長した広葉樹の均一な幹の部分だけで50トン分が伐採された。
樹木という天然資源を利用するまでの圧縮比は、1:50である。
樹木の伐採にはコストがかかる。
コークスを使って鉄鉱石から鉄を精製する方が、この圧縮比を軽減できる。
つまりより経済的な方法に移行した理由は、この圧縮比の概念から計ることができる。
お米1トンの生産には、3600トンの淡水が必要である。
水という天然資源の圧縮比は、1:3600である。
圧縮比からみると、これは経済的ではないが、
淡水の利用にお金を払う必要がないというエコロジーがある。
稲作における太陽光というという天然資源の圧縮比は、無限大になる。
なぜなら、お米1トンに対する太陽光の質量は無限小であるからだ。
光子(Photon)には質量がない。
光子は電荷もゼロであり、安定な素粒子である。
崩壊の寿命がない唯一の素粒子である。
電磁相互作用を媒介するこの素粒子がなければ、
稲作は、人類の経済学では常に赤字となる。
しかし現在の稲作は、
別のテクノロジー(高価な農薬、肥料、農機具)によって完全に赤字である。
地下資源に依存しないアジア的な稲作のテクノロジーを持続させるかぎり、
稲作は無限の連作が可能であり、
米は1粒から、一万粒の収穫を期待できる例外的な栽培植物である。 Y.K