生きるためには考えることが必要だ。
しかし、考える仕事を求めれば、
すぐに失業するだろう。
考える職業はほとんどない。
専門家は考えるのではなく、
専門の知識と技術で生活しているにすぎない。
しかし、考えることはだれも止められない。
もし、本に書いてないことを考えたら
最初にすべきことは、
その道でもっとも優れた
信頼できる個人に会いに行くことだ。
これ以上の人間的な仕事はないだろう。
考えることは人間(=レイマン)を作る仕事だから。
月別アーカイブ: 2008年6月
ユーザ
エネルギーは変換されるだけだ。
エネルギーを作り出せない人間に
エネルギー危機は存在しない。
人間は原理を発見し利用する以外、
宇宙に何も与えない。
これ以上贅沢な無料ユーザはいないだろう。
漁師力学
捕鯨が衰退したのは
鯨がいなくなるという噂を聞いて、
他の漁師に捕られる前に捕ったからである。
捕鯨の歴史は人間の貪欲さが
自然保護の意識を打ち負かしたばかりではなく、
漁師を雇用する捕鯨産業自体を崩壊させた。
ガソリンが値上がりするから
値上がり分を回収するために
原油に投資するプチ投資家の運命は
捕鯨の歴史そのものだ。
鯨がいなくなれば、漁師は不要だ。
予測と無縁であればあるほど儲かるシステムがあるかぎり、
経済はつねに誰かを搾取するか、
誰かに搾取されるかである。
21世紀の経済ももっとも身近な近視眼的行為の集積だ。
重要なことは、近視眼的行為は儲かるシステムを
維持するために絶えず教育された結果だという事実だ。
数学的自然
なぜエコロジーが存続できるのかは
絶対的神秘の一つだ。
しかし、重力定数が(僅かではあるが)、
つねに放射定数よりも大きいことに関係するだろう。
これを証明するシナジェティクス・モデルが存在する。
バックミンスター・フラーはこのモデルを
アインシュタイン・モジュール(E module)と呼んでいた。
アンモナイトの螺旋から対数を学ぶことができる。
しかし、E moduleの作成からシナジェティクスを学ぶことは
シナジェティクスと顕微鏡学からはじまった構造形態学との
違いを知ることでもある。
すべての数学的自然は視覚的に観察できない。
あるいは視覚的に観察するためのテクノロジーを発見していない。
参照
『コズモグラフィー』シナジェティクス原論
(バックミンスター・フラー著 梶川泰司訳 白揚社 2007)
炭素固定
二酸化炭素を地下に埋めても
二酸化炭素を空間移動させる固定方法でしかない。
しかも埋めるまでの過程に多大な酸素を消費し、
二酸化炭素を排出するテクノロジーである。
植物が光合成で二酸化炭素を酸素に変換するテクノロジーには及ばない。
森や海の藻類のテクノロジーには及ばない。
植物の二酸化炭素の増加を酸素の増加で解決する方法は、
二酸化炭素を減らすビジネスしか考えない人類よりも包括的なので
人類よりも長い生存の歴史がある。
超有機的テンセグリティ
地震と同じように、
サブプライムローンで住居が簡単に破壊できるのは
住宅が手作りで高価だからである。
大量生産の自動車は投機の対象にはならない。
もっとも純粋で経済的な物質の結合方法を
利用した建築の構造は、
人間の住居にはまだ採用されていない。
人間は美しい皮膚で
100兆個の細胞をパッケージしているが、
その大部分は自身のものではない。
共生する細菌(バクテリア)の細胞であることが分かっている。
この超有機的な共生生物体が採用する
真の構造システムは細胞内でつねに量産されている。
重大な弱点は無知から生まれる。
非カリキュラム
電話システムを具体化する装置化は
受話器の形態デザインよりも重要であったように、
自発的な学習システムにおいて、
包括的理解を具体化する方法は
カリキュラムや学校の建築デザインよりも重要である。
学習者にナビゲーションシステムが形成されれば、
最初のカリキュラム(コース)や教室は
一時的なデフォルトにすぎない。
包括的理解にしたがって、
カリキュラム(コース)や学校から自由に
逸脱してもいいからである。
ナビゲーションの機能は生得的であり、
知識量に依存しない。
たとえば、
全体は最大の複雑さに満ちているが、
一つのパターンを形成している。
どの部分も全体から部分を除いては存在しない
という量子物理学の発見には重要なメタフィジクスがある。
もっとも効果的に解決したければ、
全体から始めるべきだ。
たとえば、二酸化炭素から解決したがるのは専門家だけだ。
過程
出来事ではなく、過程であるために
記録ではなく神秘を呼び戻せば十分だ。
梅雨明けまで、
緩やかな谷間の温泉宿にしばらく滞在しながら
シナジェティクス理論を完成させなければならない。
晴れた午後には、川の側の木陰で
短くて深い眠りにつけるだろう。
バックミンスター・フラーの『クリティカル・パス』
25年前に現金と引き替えに全宇宙から真の富を奪うグランチは、
一年間で一兆ドルを越える配当金を株主に支払ってきた。
現在グランチのほとんどは、第二次世界大戦以後の
〈軍産複合体〉から生まれた。
2008年は過去に達成できなかった配当金を支払えるだろう。
〈軍産複合体〉に関係する株主たちは物価上昇をまったく気にしない。
世界中の人々から食料費とエネルギー代を日々間接的に
奪うことができるのだから。
この事実を最初に批判したのは
歴史学者ではなくバックミンスター・フラーである。
『クリティカル・パス』( 1998 白揚社、梶川泰司訳)には
現在の危機を理解するための歴史的な舞台裏が公開されている。