月別アーカイブ: 2009年2月

“Think Global, Act Local”の起源

テンセグリティモデルに外力を与えると、
外力を分散するために振動する。
張力が高ければ、目に見える振動は短時間で終わり、
張力が低ければ、目に見える振動は長時間続く。
テンセグリティは、他の物体(たとえば空気)とつねに相互作用している。
テンセグリティは、より軽く構造を効果的に維持するために
振動を採用したのである。
自然は、システムの構成要素間のもっとも経済的な自己組織化において、
“Think Global, Act Local”を採用しない。
しかし例えば、お金でお金を稼ごうとする場合には、
“Think Global, Act Local”は有効だろう。
“Think Global, Act Local”は、政治的で経済的なモラルかもしれないが、
科学的原理ではない。
ゆえに、エコロジーの方法論でもない。
最近、私は、”Plus81″のインタビューで
“Think Global, Act Local”の歴史的起源に言及した。
Think Global, Act Local: Creators’ Talk
http://www.plus81.com/plus/review/think_global_act_local_creator.php

証券

世界のGDPが50兆ドル程度に対して
金融商品の総額は10000兆ドルと言われている。
証券をモノやカネに変換できなくなった瞬間に、
富を表す数字は印刷されたインクのシミに変容する。
欲しいモノは何でも買えるように信用させた資本主義は、
ついに人類全体が何世紀間も働く必要のない天文学的な富と、
それを否定する多数の現実の失業者を抱えてしまった。
欲しいモノは何でも買えるのではなく、
欲しいモノは何でも過剰に生産できる
テクノロジーの段階に達していることは、
つねに見逃されてきた。
証券を発行する連中には、
モノではないテクノロジーを扱うことができない。

再生

すべての利己的な考えは、ファラオにとって
そして後世の多くの人々にとってもそうであったように
再び生まれ変わりたいという願望を植えつける。
こうした利己的な願望が、
金融危機からの再生のシナリオを
でっち上げている。
土地資本主義が地主のために
そして金融資本主義が株主のために
生まれ変わることがあっても、
労働者のために生まれ変わることはありえない。
労働者が金持ちの手法の真似をしても、
仮想的な倫理観(例えば円天のような仮想的楽園)で
解決できることは何もない。
宇宙では、すべての化学元素は
再生的に機能している。
これは法律でもモラルでもなく
現実に存在するテクノロジーである。

デフォルト・ユーザ

金融機関は、自らを優位にするために作成した
デフォルト(債務不履行)に脅えている。
しかし、エネルギー宇宙のデフォルトは不変だ。
出荷時のデフォルトにしたがって、
ユーザが何もしなくても暮らせる
エコロジーシステムの初期設定値は誰にも変えられない。

パッケージ

食料は、購入しやすいようにパッケージされる。
しかし、排泄物や廃棄される食料は、
再生しやすいようにパッケージされたことはない。
自然にとって、
それらの液体や固体を元に戻すことは、容易なことだ。
自然はそれらを人間のこしらえた単位に
分離しにくいようにデザインしているだけである。
(プランク定数がエネルギーのパッケージである。)
なぜなら、自然に廃棄は存在しない。
何かを消費するシステムがないからだ。

人工トルネード

金融工学の独占支配は、特許の独占よりも優位にあった。
だから、リストラで株価は上昇しても、
生産性が向上するとは限らないのである。
逆もまた真である。
生産性が向上しても、株価が上昇するとは限らない。
情報を内部で(=インサイダーで)共有し市場を出し抜かない限り、
そして同時に、
確率が支配するはずの自由主義経済(=アウトサイダー)がなければ、
金融工学(アブノックス)の勝利は実現できない。
不況はつねに外部で形成され、
富は内部に集積される。
奪うばかりで衰退していく最後の人工的なトルネードだ。

補填労働

労働者は労働をシェアリングして賃金の減少分を受け容れるが、
資本は決して資本をシェアリングしない。
大企業にとって不況は存在しない。
より大きくなるために、名前が変わるだけだ。

てこの原理(leverage)

減収とは、コンピュータのなかの取引額が、
梃子(てこ)の支点を失って消滅したために生じている。
現在の不況とは、工業生産高よりもその消滅額が上回っただけである。
この梃子の原理(leverage)は、資本主義の強欲さが支点となっている。
この新しい不況は、テクノロジーの加速とは無関係である。

操業(operation)

停止したり、休止したりできるのは
宇宙では、地球の工場だけだ。
すべてが必要以上に生産されてきたからだ。
植物は、太陽系に太陽は一つで十分だという前提で生きている。
経済成長率よりも資源・エネルギー循環率で、
経済の指標をつくるデフォルトの問題なのだ。
静止宇宙観は前世紀の産物だ。

思考言語 ( thinktionary) 再考

「モデルは、形態ではない。モデルは、観察した瞬間に
包括的思考への優れた思考言語(thinktionary)を生成する。」RBF 1983
知らないことは知ることの不可欠な要素である。
そこに試行錯誤が生まれるが、
われわれは、めったにこの能力を使わない習慣を学んでしまう。
「教育を装った権力システムは、本質的な包括的思考能力を
初歩的で一時的な主題へと故意に分断する。」からだ。
シナジェティクス・モデルは、純粋原理の具現化だけではなく、
その過程に潜む真の思考を導くための装置(Trimtab)でもある。
バックミンスター・フラーの遺作となった
『コズモグラフィー シナジェティクス原論』
バックミンスター・フラー著 梶川泰司訳(白揚社 2007)には、
50種を越えるシナジェティクス・モデルが紹介されている。
これらのモデル言語をマスターすれば、
包括的思考は言葉や映像、そして
教育システム(試験と学問への恐怖症)に依存しないだろう。
『コズモグラフィー』は、シナジェティクスへの入門書だけではなく
最も優れた自己教育のためのメタフィジクスである。
メタフィジクスは、
脳の働きによるブレインではない、
マインドを目覚めさせる。