一晩中、窓ガラスに木々の小片が飛んでくるほどの
偏西風の嵐だった。
裏庭から絶えず聞こえる鳥たちのざわめき。
庭の鳥たちは、山脈の起伏に沿って風向きが激しく変わる
まだやわらかな新緑がない樹木の暗闇のなかを、
小刻みに動き回っていた。
動けば動くほど翼は小枝に衝突し、
きれいだった羽先は痛々しく傷つくだろう。
しかし、飛行機のように失速して墜落する鳥は存在しない。
彼らは飛んでいるときが一番安全だ。
早朝の電話で、都会のアトリエの庭先の椿の花は
この嵐でも落下しなかったことがわかった。
椿の花は、嵐ではなく、晴れた夕方に落下するように
温度差と湿度でデザインされているはずだ。
鳥は、環境の変化に対応した結果、
歩行や静止には弱くなることを選択し、
常緑広葉樹は、乾燥や温度変化には弱くなることを選択した。
人間は、うぬぼれから経済的政治的な変化に適応するだけで、
まだ環境の変化に対応していない。