人類は有史以前から、
3000種以上の植物を食料として利用してきたが、
現代の消費者は、イネや麦などのわずか20種程度の植物に依存している。
限られた植物種の摂取から、嗜好だけではなく、思考も形成される。
例えば、先進工業国の消費者は、産業活動によって強くエコロジー的破壊を
受けた空間——陸と海底—-に生息する分類上は、
多種多様な植物からなる群を雑草、あるいは海草という
非生物的な概念に置き換えてきたのである。
人間に名前があるように、すべての雑草にも名前があった。
植物学が存在する以前から、集落の周辺でのみ生きている
愛する存在に名前を付ける習慣があった。
良い消費者をつくる手っ取り早い方法は、
自分だけの嗜好や習慣と結婚させることだ。
こうして、66億人の無数の嗜好や習慣は、
より限られた植物で間に合っている。
同時に、地球上の数千種の言語も激減させたのである。