月別アーカイブ: 2009年5月

構造とは何か

ジオデシック球は、球を置換した結果ではなく、
球の定義を単純化した。
テンセグリティは、
構造の定義を単純化した結果ではなく、
非鏡像的な相補性を置換したのである。
生命は構造によって守られ、
構造の不完全さによって生命は失われるが、
そもそも構造の定義は、
テンセグリティの発見まで存在しなかったのである。
ジオデシック構造は、テンセグリティ構造の特殊な場合である。
(一本のストラットは、圧縮力も張力も担っている。)

ミツバチ

場所ごとにいろんな香りで満たされる
春の気配に魅入っていると、
突然、アトリエに日本ミツバチが帰ってきた。
空が曇って見えるほどの仲間を連れて、
別の場所から、また巣別れしてきたのだろう。
球状の空間のなかを飛び回る時は、
遠くの低い山から聞こえるエンジン・カッターの音を思わせる。
やがて、アトリエに続くの別の建物の壁と基礎との隙間の入り口に、
黒い固まりとなって、しばらくアメーバーのような謎のダンスをしていた。
受粉のために働く勤勉なミツバチはいない。
すばらしい季節を求めて移動したいだけだ。
その夜が、満月だと分かったとき、
久々に外で焚き火をしながら、お酒を飲んだ。

外側の春

この山脈では、春は一年でもっとも長く、
もっとも過ごしやすい季節だ。
この山脈は、大気圏外から見た地球の地理情報からすれば、
「山奥」は、より「外側」に位置するからだ。
(ジャンボジェットは、零下40度の外側を飛行できる。)
広葉樹の新緑が、
葉の表面温度を低下させるばかりか、
森に無数の葉陰を作り始める。
衛星画像からその射影が見える。
しかし、都会の春は短い。
もう夏の気配がする。
都市の車は、
5月でも日中は冷房を使わないでは走れない。
剥き出しの道路で包囲された都市は、
より「内側」に位置している淀んだ凹みだ。

独創性

一つの事柄についてすべてを知る方法と、
全ての事柄について何かを知る方法は、
専門家と博識家との知性の違いではない。
独創性を身につけたい学生たちは、
この学習方法のどちらかを密かに選択してきた。
一つの事柄についての可能な限りの関係性を知る方法から、
既知となった事柄についてのすべての関係性を知る普遍的な方法と
それらを時間順序で蓄積し、他者が自由に閲覧する方法との開発を
ある期間を決めて実践することは、重要な未知の課題であった。
アインシュタインも含めた専門家も博識家も
純粋理論から兵器としての原爆製造は不可能だと考えていたが、
マンハッタン計画は原爆を2年間で開発した。
そして、国家的な規模の共同体による知性の開発の有効性は、
ヒロシマで証明された。
新たな構造と意味の解析と統合は、
不幸なことに、大量殺人兵器の開発からだったが、
それまでの個性に依存した独創性の概念が、
解体した瞬間でもあった。
それから半世紀以上経過したが、
こどもの個性を伸ばして独創性を獲得するための教育は、
独創性に対する社会的な幻想に基づいている。

経済病理学

玄米食をすると、ウンコの臭いがすぐに変わる。
臭いは大腸菌の種類に関係する。
生物のウンコには大腸菌がいっぱいある、
しかし、哺乳類のオシッコにはまったくない。
もし、オシッコに大腸菌があれば病気である。
これが、顕微鏡が発明された後の
病理学の始まりだった。
お金でお金を稼ぐ金持ちが増えている。
しかし、お金がまったくなくなるばかりか、
負債を抱える貧困はより増えている。
これは経済学ではない。
まして、資本主義でもない。
お金が発明された後の、
インフルエンザよりも毒性がある
死に至る病である。
しかし、インフルエンザと違って、
人間にしか機能しないローカルな毒性だ。

船長

理解できないと、興味が持てないばかりか、
コミュニケーションできない人間が増えている。
理解できなくても、
間違って理解していない限り、
コミュニケーションは標準化できる。
船長が船員の意見に疑問を抱いた場合、
船長が正しいことが理解されるまで、
船員のことを理解しないだろう。
しかし、船員が船長のことを間違って理解した場合、
その船は重大な危機に至る可能性がある。
コミュニケーションは、つねに汚染されてきた。
なぜなら、世界中のメディアに、
政治イデオロギーという民主主義を信奉する
偽の船長がつねに2人いるからである。
そして、教育も理解を偽装するようになった。
理解できなことを悪いことだと考えているかぎり。

ETC入門

1000円で、みんな出てきた、出てきた。
高速道路は、もっとも安い、
動く駐車場になるだろう。
サービスエリアに、
インターネットや図書館、病院、銀行、
そして、スパーも学校も必要だ。

ある会社の損失は、他の会社の富である。
全体の富は、奪われた総計に接近する。
不況は、バイオスフィアでは例外的な経済現象を
拡大する手段である。

種族維持

工場が車を大量生産するように、
工場は自らを複製できる。
そして、ついに、新車を購入すれば、
毎年その車は自動的に
漸進的に変化した新車に生まれ変われば、
その工場も不要になる。
その方法には科学的根拠がある。
インフルエンザ(RNAウィルス核酸)もエイズ(HIV)も、
自らの遺伝情報を複製した後に、
再び正20面体の核シェルターに格納する。
この自己同型のためのモバイル・テクノロジーこそ、
do more with lessによる最大の生存方法である。
人類は、彼らの種族維持目的のエコロジーほどに
まだ宇宙に最適化していない。
われわれは、まだ血と涙を介在させ、
擬人化したエコロジー(たとえば、「地球に優しい」)という
感傷的な段階にいる。