月別アーカイブ: 2009年6月

一年生野菜

庭に野菜の種を蒔くと、だいたいすぐに実をつける。
収穫するまではとっても早い。
カボチャやトウモロコシ、トマトなど
ほとんどの野菜は1年生植物である。
彼らは、種子で休眠した状態で、
次のより良い機会を待つ方がはるかに有利になるようにデザインされている。
そのためには、良好な環境条件に出会うと短時間で成長し
繁殖するノウハウが必要になる。
良好な環境条件とは、
光と水と温度、
そして、土壌である。
繁殖ノウハウに関しては、種子で休眠できる以上、
人間よりも経済的で長寿である。
ところで、稲は野菜ではないが1年草である。
発掘された縄文土器から、運良く保存された古代米の種子が
見事に発芽できるように、
ごく一部の富裕層は、老衰するまえに、冷凍保存して休眠状態を選択できる。
この不老テクノロジーはまだ経済的な方法ではないが、
明らかに1年生植物への願望がある。
あの世よりも、
次のより良い機会を待つこの世の方が
はるかに有利だという前提がある。

低炭素社会

宇宙の炭素の原子数は増えも減りもしない。
バイオスフィアでは、
有限な炭素が大気中の酸素と結合しすぎただけだから、
低炭素社会を主張するなら、
高酸素社会も同時に必要になるだろう。
炭素排出権があるなら、酸素消費権もあるだろう。
宇宙は、二大政党的なあれかこれかではなく、
つねに相補的だ。
参照
概念の牢獄
http://synergetics.jp/tensegrityblog/

原型

デザインを考える人間は大勢いるが、
プロトタイプ(原型)をデザインできると考えているかぎり、
原型を発見するのは、
例外なくたった一人だ。

老前人

老後を考える若者が増えてきた。
だから、貯金しているらしい。
社会は、働かない自由と富を
お金だけに代行させた人たちの
淀んだ溜まり場になりつつある。
老後人もたよりないが、
老前人は奴隷的だ。
理解できることしか理解しようとしないのは、
自然に反しているだろう。
あるいは、
自然には含まれないだろう。
自然は、未知(unknown)を包含し、
シナジーはその未知なる自然から生まれるから。

構造デザイン

建築家も金属工学者、
そして分子生物学者も構造をデザインしたことはない。
構造をデザインするのは不可能であることを把握するのは、
シナジェティクス(思考の幾何学)である。
つまり、構造はつねに発見されてきた。
テンセグリティのように。

短命

複数の原理が相互に機能する状態は、
常に不可視だから、
形態デザインだけでは短命だ。
構造デザインこそ、
原理の変換に関するテクノロジーの
最良の実践だ。

ピンボケ写真

どんな写真も、ピンボケである。
自分が興味ある被写体以外は。
どの物体にも平等にピントがあう
理想的なレンズは、超望遠レンズであるが、
視野角がそれに伴って小さくなる欠点がある。
ジオデシック球の分割数(frequency)を
さらに極限化したものが球であるように、
レンズではなく、受光体(かつてはフィルム)
の解像度を無限にすれば、
ピンボケというレンズの特性は消滅するのである。
同時に、視野角は人間以上に拡張できる。

コミュニケーション

捨て犬や捨て猫と暮らすと、
次第に前の飼い主の人格が見えてくるように、
捨てられたモノの持ち主も見えてくる。
モノの所有権は簡単に消滅できるが、
コミュニケーションを生命だけに依存してはいけない。
まだ人間以外との通話料は無料だ。

人間は、ますます不自由だ。
これまでかなりの自由が
お金と引き換えに捨てられてきたからではなく、
残った不自由を捨てられなくなったからだ。
その不自由でさえ、お金で固められている。
金(元素記号Au, 79 結晶構造は面心立方構造)と交換できない紙幣で。
ケータイ会社のauは金のラテン語の「光るもの」 aurum の省略型である。
実際に廃棄された携帯電話から貴金属類は再生できるから、
本当に存在し機能する金は、人間の自由よりも自由だ。