私が高校生の時、
変速ギア付きのドロップハンドルの自転車はまだ高価だった。
さらに、追加のパーツから15段変速の自転車に改造した時、
羨ましがる友人たちからF1と命名された。
しかし、ギアの合金の強度が不十分だったので、
変速時にチェーンからかかる衝撃によって
ギアの歯が変形し折れることがたびたびあった。
後輪のむき出しの歯を見れば、
使用する各ギアの頻度がすぐにわかる。
もっとも使用するギアは最小半径のトップギアであった。
思い描く速度に対応する十分な脚力があれば、
加速するには、3速で十分であった。
だれもが、15段変速のギアの大半は使っていない。
時速300キロで安全に走行可能なF1のギアは、僅か7速である。
ギア比からエンジンの回転数と出力(特にトルク)が想像できる。
(ちなみに、速度よりもトルクがより重要な大型トラクターでは
前進32速である。)
F1のセミオートマチック連続ギアボックスだけのコストは、
2000万円程度である。
高温にも耐えられるカーボンファイバー製のクラッチは200万円程度らしい。
より早く走行するための変速器の性能は
つねにより優れた合金にこそ期待できる。