月別アーカイブ: 2009年10月

時間

多忙を自慢する人は多い。
暇を自慢する人もいる。
時間があるかないかではない。
デッキに出て来ないで、
どうやって全方向性が見えるんだろうか。

雑想

「雑」とは、本来、四季や恋以外のものであった。
雑務とは、中世における所領・年貢を除く民事関係の訴訟・裁判のことである。
雑穀とは、食糧や飼料として広く栽培されている穀物種の総称である。
雑種とは、形態的種、生態的種の間の交配によって
生まれた個体である。
そして、雑草という概念をこしらえたのは、
農薬を製造する化学会社だった。
栽培してお金になる植物以外は、「雑」なのである。
しかし、自然界には、雑種の方がほうが圧倒的に多い。
人類は雑種の代表である。

ベルヌーイの定理

自然は扇風機のように

羽を使わないでも風を興せる。
風が吹くのは、
海水があって、

陸には植物が水分を保存しているからだ。

そして、太陽系を地球が公転しているからだ。

さらに台風やハリケーンは、

地球の自転(コリオリ力)を利用して回転し始める。

強い風は軸回転力から生まれる。
ダイソンの羽根のない扇風機(Air Multiplier)には、

風を興す内部に回転するある種のローターが内蔵され

リングのスリットから吹き出すことで、

リング状の表面に気圧差を生じさせている。

流速が上がれば圧力が下がるベルヌーイの定理にしたがって。
この気圧差が粘性の高い気体の流速にシナジー効果を与えている。

しかも、異なった空気の流れには
温度差(冷却)が生じているはずだ。

離陸直後のジェット機の主翼のように・・・
羽根のない扇風機は、矛盾した言葉である。
扇という言葉自体に羽が内蔵されているから。
扇風機は、純粋な <風の加速器>になったのである。
より少ない風でより多くの風を興せる
台風やハリケーンのメカニズムに接近したのである。
風はつねに軸回転によるプリセッションから生まれ、
ついに大気圏がバイオスフィアを制御するように、
空気は空気自体を制御できる。
お金のないアメリカは、

膨大なドルを印刷して世界中に
経済格差を生じさせても

世界を回転させ続けることはできなかった。
民主主義で偽装された経済原理には、

支点の消失によるレバレッジという圧縮材の機能の不全から
一挙に拡がる破綻の原理しか機能しないだろう。

変速ギアボックス

私が高校生の時、
変速ギア付きのドロップハンドルの自転車はまだ高価だった。
さらに、追加のパーツから15段変速の自転車に改造した時、
羨ましがる友人たちからF1と命名された。
しかし、ギアの合金の強度が不十分だったので、
変速時にチェーンからかかる衝撃によって
ギアの歯が変形し折れることがたびたびあった。
後輪のむき出しの歯を見れば、
使用する各ギアの頻度がすぐにわかる。
もっとも使用するギアは最小半径のトップギアであった。
思い描く速度に対応する十分な脚力があれば、
加速するには、3速で十分であった。
だれもが、15段変速のギアの大半は使っていない。
時速300キロで安全に走行可能なF1のギアは、僅か7速である。
ギア比からエンジンの回転数と出力(特にトルク)が想像できる。
(ちなみに、速度よりもトルクがより重要な大型トラクターでは
前進32速である。)
F1のセミオートマチック連続ギアボックスだけのコストは、
2000万円程度である。
高温にも耐えられるカーボンファイバー製のクラッチは200万円程度らしい。
より早く走行するための変速器の性能は
つねにより優れた合金にこそ期待できる。

サツマイモ

植物にとっては、
毎日は一年の最善の日の連続である。
そして、ついにチャンスを貯蓄できるようになった。
太陽光は電気に変換して売ってもいいが
食べるのも健康にいい。
今日は朝からいい天気だ。
畑のそばで焚き火をして、
焼きいもをこしらえた。
私にとっては最善の日にちがいない。

動的平衡

有機体生命以外で、
もっとも単純な動的平衡状態を観察したければ、
テンセグリティモデルが一つあれば十分だ。
しかし、
圧縮力と張力という互いに非鏡像的で反対称的な流れは、
テンセグリティモデルの振動以上に観測することができない。
互いに非連続な圧縮材と連続した張力材と物理的な動的平衡は
シナジーの概念によってのみ説明できるだろう。
テンセグリティ構造の概念のアナロジーは、
テンセグリティの発見以前には存在しなかった。
実際、1911年ラザフォードは原子核を発見したが、
テンセグリティ構造の発見者ではなかった。
トムソンによる電子の発見(1897)から陽子・中性子の発見まで
原子核構造の概念形成に14年間の懐胎期間があるように、
原子核を発見から球状テンセグリティ構造の発見まで、
38年間の懐胎期間が存在する。
さらに、細胞がテンセグリティ構造であると認識されるまでには
球状テンセグリティ構造の発見から約半世紀を必要としている。
原子核構造と同じように、
球状テンセグリティ構造と細胞テンセグリティ構造は
電子顕微鏡という人間の視覚の拡張装置ではなく
概念によって、視覚化されてきたのである。

シナジェティクス・クッキング

すべてのクッキングは複雑な生化学反応を伴ったある種の操作主義だ。
シナジェティクス・クッキングは習得可能だ。
しかし、発見されたシナジェティクス・モデルは、
つねに美的な存在であるが、
美術館向きではないばかりか、
発見者の知的または美的センスにも依存しないだろう。

5つの嘘

最初の嘘は言葉からである。
2番目の嘘は習慣である。
3番目の嘘は政治である
4番目の嘘は宗教である。
5番目の嘘は、それらを支える概念である。
概念から形成できるもっともらしい真実は、
もっぱら学会という共同組合のメンバーである
科学者たちによって維持されている。
たとえば「宇宙からの帰還」という概念によって
見事に地球を宇宙から除外できる。

魔法

純粋な構造原理を物質化する方法は、
魔法と見分けがつかない。
35年前一つの魔法の再現に挑戦した。
一筆書きの共鳴型の球状テンセグリティモデルのデザインだった。
このもっとも純粋なモデルは、
数カ所のテンション材が破断しても
基本機能は失われなかった。
そして、球状のままバウンドすることができた。
この魔法はいまでもほとんど信じられていない。
多くの場合、張力材の断線に対する恐れと物理的な断絶は、
中央集権的な電力と上下水道の閉じない
非自律型ネットワークに由来する。