蜘蛛の糸と同じ直径からなる繊維を、
鉄と炭素からそれぞれ構成した場合、
もっとも引張力の小さな繊維は、
蜘蛛が紡ぎ出す繊維ではなく鉄の繊維である。
炭素繊維は鉄の10倍である。
蜘蛛が自発的に撚った繊維は鉄の5倍となる。
この引張強度のもっとも高い炭素繊維(カーボンファイバー)を
機体の大部分に利用する軽量の旅客機に使用するには、
炭素を繊維状に成形してから炭素の含有量を高くするために、
特別な装置で300℃の高温・高圧状態にしなければならない。
常温・常圧でハイテク繊維工場を内部化(=内蔵化)した蜘蛛は、
引張力の再現において、もっとも省エネであり、
しかも二酸化炭素の排出量は、最小限であるばかりか、
化石燃料にいっさい依存していない。
蜘蛛から見れば、
常温・常圧でさえバイオスフィアが
準備してくれた偉大な空気膜のテクノロジーである。
月別アーカイブ: 2009年11月
シナジェティクス・モジュール理論
小さいなことの積み重ねで予想外のことが起きるのは、
世界が有限な最小限のモジュールで形成可能だからだ。
小さなこととは、例えば、原子核を構成する核子である。
ただし、積み重ねる方法は物質ではない。
すべての核子はこれまで、球状粒子というアナロジーに支えられてきたが、
エネルギーに形態は存在しないという科学的な刷り込みによって、
だれもその形態を見た人はいなかったのである。
シナジェティクス・モジュールは、
バックミンスター・フラーの量子モジュールの発見から
現存するメタフィジックスを樹立してきた。
もはや科学的アナロジーを超えたのである。
類似に基づいて適用する認知過程はリアリティにとっては二次的である。
☆参照文献
「成長する正20面体」梶川泰司 1990
日経サイエンス(サイエンティフィックアメリカン日本版)
『コズモグラフィー(シナジェティクス原論)』
(バックミンスター・フラー著 白揚社 2007)
経済危機
生存に必要なもの。
それは食料とエネルギー、シェルター。そして想像力だ。
みんなお金で買えるようになったが、
お金を経由しないでも獲得できる
自由が奪われた時から始まっていた。
空気メーター
炭素税は測定器がなければ存在しない。
資本主義は、水も電気もガスにも、精密なメーターをデザインしてきた。
(そして情報に対しても課金してきた。すでに電気代よりも高い)
しかし、大気圏内にいるがぎり
誰でも安全に空気を無料で直接摂取できる。
1915年、マルセル・デュシャンは、
資本主義の空気に対する希少化の不可能性を攻撃した。
「自分が呼吸する空気にお金を支払わねばならない社会を作りだせ。
空気メーターによって、禁固刑または空気の希少化を行なうこと、
料金未納の場合は必要に応じて窒息(空気だけを遮断)させよ」
革命後のロシアには、水道、電気、ガスのすべてのメーターは存在しない。
これはイデオロギーの問題ではなく、
精密なメーター製造と設置のコストの問題から経済的に判断した結果である。
イデオロギーで二分された地球人口の約半分は、
現在でもエネルギーは欲しいだけ使えると感じて生活している。
マルセル・デュシャンのコンセプチュアル・アートは、
イデオロギーのエネルギー・メーターに対する欲望がある限り、
美術館を超えて大気圏内で存続するだろう。
絶縁
地デジ対応の高性能液晶テレビと番組との関係は、
すばらしい器に載せられて出される貧弱な料理に近い。
二度とそのレストランにはいきたくないものだ。
ニュースは、テレビではなくネットに繋がった
液晶モニターから注文する時代になって久しい。
しかし、
まやかしのない料理を食べるために
注文の仕方自体のリセットを忘れていたなら、
ユーザがそれまで属していた馴染みのある
局所的ネットワークから完全に絶縁することはむずかしいだろう。
どのレストランにも失望したなら、
いまこそ『クリティカル・パス』(バックミンスター・フラー著、白揚社)を
読破する状況になっている。
失業率
専門分化には、
仕事と職業を区別するから失業がある。
しかし、仕事はつねに豊富に存在する。
水素原子の失業率はゼロである。