ヒロシマのウランの核分裂で生成された
セシウム137の半減期は30年である。
半減期とは、放射性核種あるいは素粒子が半分程度崩壊して
別の核種あるいは素粒子に変わるまでの時間である。
放射性同位元素セシウム137はコバルト60のように強いガンマ線を発する。
体内でカリウムと置き換わる危険な元素である。
半径1.5キロ以内で被爆した母は、奇跡的に生存し、
この半減期を家族の成長ともに過ごした。
兄弟のなかで私は母から一番手紙をもらった。
これから手紙を書こう。
この手紙が病院に着くころ、私は母の傍にいて
最後の手紙を読んで聞かせているだろう。