月別アーカイブ: 2010年9月

人間はどんな書物を読んできたかよりも、
どんなものを食べているかできまるという知識を
病気から理解している。
しかし、何をどう調理するかは
いちばん理解しがたい方法である。

自己教育

あらゆる知恵の中で、
自己教育に関する知識がいちばん遅れている。
教育の本質は個人を普遍化することである。
いまのところ、
それは学校で習ったことをすべて忘れなければできないことだ。
自己教育を継続できないかぎり、
教育は個人を傷つけるものである

統率VS統合

全体は部分から推測できないことに
人間は我慢できない。
個人は集団のために、集団は個人のために組織すると
ファシズム的な機構を帯びてくる。
テンセグリティにおいては、
張力材は分断された圧縮材の統合のためにある。
圧縮材と張力材がそれぞれ局所的に破壊されても
圧縮力と張力は動的な均衡を維持している。
統率者が不在のままで。
張力は距離を超越しているからだ。
質量をもつ物質・エネルギーが互いに引き合う重力のように、
統合するには
統率という人間の目的は不要だ。

最高の授業

最高の授業に
最高の教師と最高の生徒は必要である。
この考えはエリート主義の惨めな幻想だ。
私にとって最高の授業は、
教師のいない、
テキストもない
こどもだけの自律的授業だった。
1950年代にアメリカは敗戦国で自国では禁止された
先端的な教育実験を指導していた。
特に廃墟と化したヒロシマで。
驚くことに
こどもはこどもを教育できる。
お互いの間違った経験によって。
学校という「囲い」によるシステムエラーを
こどもには訂正できないだけである。
「囲い」とは
間違いを除外するための
間違わないシステムである。
それはつねに最高を目指している。

贈与システム

超国家企業というグランチは、
富の交換の媒介である現金会計システムを
完全に独占するために
法律的に抽象的存在を保証している。
それは、人間の生命をどのうように愛情をもって育むかという
問題を無視するためにある。
そして、お金という富が、将来にわたって人間を保護し、育て、
そして環境に適応させる組織化されたノウハウを教育することには
ほとんど利用されないように。
実際、奨学金などの贈与システムは
より強い支配の絆のために利用されている。
個人としてお金持ちも、
お金でお金を稼ぐノウハウに優れているだけである。
小さなグランチはいまや増加の傾向にある。
彼らに憧れる貧しい個人が無数にいるかぎり、
尊敬はどこにもないままだ。
真のノウハウへの尊敬はだれも贈与できない。

構造とパターン————テンセグリティワークショップを終えて

水素と酸素がそれぞれ
水に似ていないように、
テンセグリティモデルは、棒と紐に似ていない。
テンセグリティは人間がデザインした形態ではなく。
構造の構成要素が化学反応した結果である。
この構造が自律的なのは、
その反応の結果が動的に安定しているからだ。
発見されたほとんどの化学反応は論理的には考えられなかった。
実験によって原因と結果に例外のない整合性があるから
自然を論理的に再構築しているのである。
真の構造の構成要素は、
テンセグリティの発見によって
はじめて発見された。
言い換えれば、構造という言葉ができたとき、
まだ誰も構造を定義できていなかったのである。
きれいな水がきれいな水素と酸素から形成されていなかったように、
美しいテンセグリティはけっして美しい棒と紐から形成されない。
圧縮材と張力材からなる非鏡像的な相補性
または
非連続の連続性の概念の発見こそは、
構造とパターンに高度な単純さを探求する
シナジェティクスの成果である。
自然は構造とパターンの宝庫である。

テンセグリティモデル

風はだれも見れないが
船乗りが風を受け入れるように、
本当のシナジーの概念を直観的に理解できるのは
テンセグリティだけ。
震えていない瞬間はないように
つねに角度と振動数に移り変わる。
本当の構造に名前を教えるのは
テンセグリティモデルだけ。
というメタフィジックスは
テンセグリティ・ワークショップで経験できる。

かけがえのない自然

鳥は翼を傷つけたとき、
他の翼、つまり、仲間の鳥の翼と交換することは出来ない。
鳥には破損箇所を自己修復する機能が与えられている。
われわれの住宅の部品は隣の家の部品と交換できないので
非モジュール的に設計されている。
ドアや窓、畳でさえ交換はできない設計である。
交換できないことで、利益を追求している世界は
まだ支配的である。
(土地資本主義から自己修復できる住居の概念は生まれないだろう)
現代のジェット機の翼やエンジンは交換できる。
モジュールという概念はパソコンや冷蔵庫、自動車にも適応されているが
自然は原子核を構成する核子に適応している。
銀河は10億年以上の時間をかけた衝突によって
互いにモジュールを合体する。
核分裂や核融合では陽子や反粒子などのモジュールが交換される。
かけ替えられるという交換機能または自己修復のデザインは
宇宙の見えないテクノロジーに属する。
人間の感傷的な世界観が生み出している
「かけがえのない自然」は、
唯一無二というかけ替えられない=交換不可能で非動的な平衡状態、
つまり、死の世界の概念である。
同時に、
この概念こそが現在の99%の人類のエコロジー概念を支えている。
エコロジーに自然はまだ含まれていないからではなく、
自然がエコロジーを含むまでメタフィジックスはつづく。

往復2000キロの旅

高速道路を時速120キロで8時間運転すれば1000キロ程度も移動できる。
これは飛行機や船舶でのみ可能な計算方法である。
高速道路を平均時速80キロで移動したければ、
時速120キロ以上で運転しなければならない。
移動時間には休憩と食事と給油などが30%以上も含まれる。
この時間は長距離になればなるほど増加する。
平均速度を下げる最大の要因はドライバーの睡眠時間である。
自動車の移動時間の短縮には、
高性能な自動車よりも
睡眠しないロボットか
交代できる複数のドライバーが必要だ。