すべての構造は重力なくしては成立せず、
建築構造は大地との結合なしでは成り立たない。
構造の自重は大地に流れていく。
しかし、
巨大な鉄の塊を船のような器にデザインすると、
浮力という重力の反作用によって、
海上または海中を浮遊する構造となる。
テンセグリティにおいては、重力を張力に置き換えると、
大地との結合から自由になり、大気圏を浮遊する構造になる。
テンセグリティ原理を利用する
原子核や細胞から、基礎という構造を取り出せないのは
張力が基礎との絶縁から生まれるからである。
基礎という概念は、
数万年間、構造に対して抱き続けている
人間の認識上の壁なのである。
そもそも重力は断面積がゼロの非物質化した張力材であるという認識は
シナジェティクスによるテンセグリティの発見を
待たなければならなかった。