同時的世界

脈は手で触らないと分からない時代から
衛星から非接触でも同時的に分かる時代に
人々はどうして通学・通勤しているのだろうか。
同時的だが直接的な
互いの監視や競争が
人々の主要な労働や学習になっている。
数千キロ離れた仲間と
互いにほぼ同時的に会話しながら
非同時的に回遊している鯨たちが
見えない球状ネットワークを
無料で使いこなしているテクノロジーと
人間が競争しないのは
鯨よりも人間を監視し課金するテクノロジーを
最優先しているからだ。
イデオロギーにかかわらず
この数千年間、
それは何も変っていない。
そして
無知からではなく
おそらく嫉妬から
彼らを食べもしないで肝油だけを採取して
油田発見まで灯火用のエネルギー源として
課金したのである。
マッコウクジラからだけで
年間1万頭分以上の油を換金できたのは
もちろん、18世紀以後の大型の帆走捕鯨船の造船技術を
独占した東インド会社である。