月別アーカイブ: 2011年6月

モバイラー

動物は一生のほとんどを
安全な住処で過ごしている。
より安全な場所へ動くからだ。
人間だけが自宅を大地に
固定したがっている。

カッコウの動機

初夏の夕暮れに
梅雨明けを思わせる雷が遠くで光った。
しばらくして、畑の近くの見通しの良い樹の上で
カッコウがまた鳴いている。
かなり能率のいい非電化スピカーだ。
平地でも半径500メートル以上はカバーできる音量だ。
谷間ならもっと共鳴するだろう。
彼らは自然との共鳴を
恋愛にも緊急時にも使ってそうだ。
互いの微妙なさえずりの違いを判別できる
文法があるなら。
否、これは自惚れた推論だ。
<彼らにないものはわれわれにもない>と
いう生成文法こそを想像すべきだ。
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<註>ネット画像から引用した映像。望遠レンズでも通常はカッコウにはこんなには接近できない。

衰退期

被曝した人間は二種類に分裂する。
言われたようにはしないで
これ以上被曝しないタイプと、
言われた通りにして
より被曝していくタイプだ。
人間も国家も
これ以上衰退しないだろう。

被曝を超えて

環境だけではなく
事実も広範囲に被曝してしまった。
さらに
事実を支える言語も
そして、
言語を支える想像力も
内部被爆したから
真実はあっという間に
メルトダウンしてしまった。
唯一の生き残りのチャンスは
この閉じた構造から
数千年間の絶望を
自らの思考力で
メルトスルーさせることだ

統計学

現在の電力会社の電力ネットワークでは
電気エネルギーは蓄積できない。
にもかかわらず
東電のピーク供給量が
恣意的に操作されているのは
電力エネルギーが
すでに十分にあるからに他ならない。
<エネルギーと食料の欠乏>から生まれる
条件反射的な恐怖感で支配してきた
グランチの統計学はいつも腐敗している。

非同時的な疎開

学校には
集団で同時的に通学してきた。
会社には
集団で同時的に通勤してきた。
しかし、
被曝した後に
個別に疎開させられるほど
不幸なことはない。
被曝疎開は
ゆっくり死んでいくひとびとを
非同時的に隠蔽するための
放射性物質の拡散方法になった。

軍事用語

<疎開>とは
軍事作戦における非戦闘員や産業を
敵の攻撃目標から免れさせることを
意味する軍事用語である。
核戦争と同レベルの
計画的内部被爆に誘導した
権力構造にかかわるすべての意志こそが
今世紀の核戦争なき<疎開>の起源である。
<疎開のすすめ>によって
概念の牢獄がより強化される前に
物理的に安全で平和な場所に
避難しなければならない。
人間は住む場所を
自分の意志で選ぶことができる。