量子(quantum)は
量子物理学より前から単位を表す言葉として存在していた。
量子物理学によって、物理量はある量を最小単位とした場合
その整数倍をとることが発見された。
現在では飛躍的で画期的な意味を表す形容詞にもなった。
工業製品を構成するモジュール>という概念も最小単位を意味するが
第2次世界大戦後に自動車産業界で生まれた。
そして、モジュールは人間がデザインした人工物という概念を伴う。
量子物理学(quantum physics)が誕生して半世紀後である。
1927年、バックミンスター・フラーのシナジェティクスは
量子幾何学として生まれている。
量子(quantum)は
つねに自然の特殊性を内包している。
月別アーカイブ: 2014年3月
構造の存続
自然には構造以外存在していない。
どの構造もつねにもっとも経済的なエネルギー戦略を
採用するからだ。
さもなくば、自然には存続できない。
一時的
化学化合物の結合状態は
つねに一時的である。
限定された結合の可能性から形成されているから。
われわれの経験は
すべて一時的である。
無限の結合の可能性から形成されているから。
にもかかわらず
われわれの経験は互いに似ている。
無限の結合の可能性から
遠ざかりたいから。
アジア的原型
バックミンスター・フラーの<doing more with less>は
自律的で他利的な思想を背景にして形成されている。
1930年代の大恐慌から第2次世界大戦が終わるまでの間に
デザインサイエンスは
もっともアジア的原型に接近したのである。
デザインサイエンスが難解に思われるのは
21世紀の日本人がひたすらケチな個人主義になったからである。
失敗
<人工物>のデザインに間違いが存在するのは
<人工物>と<失敗>という概念自体を
人間が発明したからだ。
自然のデザインには<失敗>がない。
<人工物>はまったく無意味な言葉だ。
デザイン
<デザイン>とは、
他の部分から見たそれぞれの部分との関係である。
宇宙の偉大な知的デザイン以上の関係は存在しない。
デザインを教育する人々は
最初にその宇宙との関係を除外してきた。
実験講義
私のスタジオ内で連続3夜、計36時間講義と
プロダクトデザインを同時進行させる実験講義とワークショップで
プロトタイプ1号機を昨晩完成した。
明日は2号機の作成に挑戦する。
しかし、挑戦とは
昨日までの蓄積を如何に短時間に棄てられるかだろう。
それを可能にするのは
シナジェティクスとデザインサイエンスの
相互補完的な機能である。
大きさを超える行為と
大きさを与える行為を支える相補性は
非鏡像的である。
遅延
現実を認識するためには
残像を待たなければならない。
テレビの同時中継でさえ
画面の無数の走査線の
初めと終わりでは時間差がある。
<同時>という仮想現実に生きているよりも
はるかに<非同時>の現実を生きている。
独占方法
新しい技術が仕事に有利さを
もたらすためのもっとも有効な方法は
見せびらかしから始まり、そして
十分にじらすことによって
いつの間にか人々に独占させることである。
基準
すべての経験は一時的である。
経験と経験とを繋ぐ関係は、
メタフィジックスであり
その関係を実在するものに変換できない。
絶対的で無条件なものは、
変換不可能であり
つねに静止的である。
したがって、経験的には無意味である。
しかし、独裁者は
その静止的な基準ゆえに独占したいのだ。