バックミンスター・フラーは、唯一命令形の言葉を残している。
その命令を完全に遂行したプロジェクトはこれまで存在しなかった。
その理由は彼でさえ、完全には成功していかなったという事実で十分だろう。
しかし、工場から出荷されたままの<デフォルト群>が
21世紀の予測的デザインサイエンスによって生み出される
<トリムタブ>の完全な構成部品になる可能性は
バックミンスター・フラーの時代よりは比較できないほど高まっていた。
異なった複数の既製品を矛盾なく統合するには
既知となった機能との葛藤や
新たな用途開発への混乱をもたらす断片化と
頻繁に闘わなくてはならないだろう。
葛藤や断片化はデザインの不足よりも
関係性の発見の不足から生じているからだ。
産業化における量産とは
原寸大プロトタイプという原型の再生産であるが
量産された既製部品からなる
デザインサイエンスの<トリムタブ>においては
もはや構成部品のいかなる複製も不要になるだろう。
<トリムタブ>では
重さのない新たな機能が複製されるだけである。
その機能はどんな既製品の個別の機能からも予測できなかった
包括的システムから生まれる。