月別アーカイブ: 2015年7月

網膜を超えて

小さな要素の集合体として描く構造分析方法が
張力の統合作用を除外していても
誰も気にとめなかったのは
全体が部分の集合ではない存在を知識以上に見れないから
〈テンセグリティ〉という存在の明白さによって
すっかり盲目にされてしまったからかもしれない。
相補的であれ、補助的であれ、
張力の機能が熟考されないままに
人体も、細胞も、住宅も、
そして、太陽系も
意識の背後に残されてしまう。
網膜を超えて熟考する時に
真の構造はやってくる。

モデル言語とシナジェティクス

シナジェティクスを理解して自分の知識にしようとする
段階の好奇心からではなく、
自己からの離脱を試みるシナジェティクス・モデリングは
すでに形態(form)ではない。
操作主義的モデリングに極意などは存在しないが
モデル言語の言語化は一般化できない。
—————自己からの離脱以外に。

最初の<構造>

自己以外の存在を必要としない
自己充足の極限とその限界から
テンセグリティ構造の自律性が発見されたと見るべきである。
宇宙と自己の相互関係を捉える
ケプラー以後の
独創的なメタフィジックスから生まれた。
自然の構造を科学者が語る時
これほどまでに主体の倫理に
基づかなければならない構造はないだろう。
テンセグリティが観察から発見されなかった
自然の構造であるがゆえに、
テンセグリティの統合性の分析は、
自己の自己への関係によって規定された
最初の<構造>に関する分析である。

分離する抵抗

経済と政治の関係は、それほど基本的ではない。
哲学と政治の関係は、
科学と産業の関係と同じように基本的である。
哲学と科学は、
分離されて教育されてきた。
それは哲学的でも科学的でもない。
つまり、政治的なのだ。

回転と振動

テンセグリティは
テンセグリティの構成要素に拠って自律するものではない。
原子核が、核磁気共鳴から生まれる歳差運動と
互いにバネでつながれている
おもりの振動から生まれる格子振動によって
構造化されているように
テンセグリティは、
結合エネルギーによる
回転と振動で自律しているのである。
構造の分析の前提をことごとく破壊するテンセグリティは
原因と結果の閉じた論理的な循環から発見されなかった。

構造デザイン

テンセグリティの構造デザインが
最初は構造を構造自身から引き剥がす
限界構造という概念から始める時、
剥がされて露わになった残余が
建築ビジネス用のリダンダンシーである。
リダンダンシーこそが
つねに構造デザインを
自然の構造であり続けることを妨げるための
国家管理の装置の中に位置づけるものである。

受動性

圧縮材が張力を引き出し、
張力材が圧縮力を引き出す
テンセグリティは、
受動性を否定するシステムである。
しかし、このシステムは
固体の概念からは
作為として理解される。
弾性率(elastic modulus)の高さを
固体の概念に求めた数十万年間のモデル言語の不在によって
テンセグリティの振動が
受動性として感じられるのである。