月別アーカイブ: 2016年3月

無秩序の秩序化

「防潮堤は景観だけでなく目の前の津波襲撃を
ブラインドする凶器の遮蔽壁となった」

津波に対する防波堤は
土木工事で富を稼ぐための
コンクリート(=固体的)な思考そのものである。

セメントで凝固させた硬化物(コンクリート)は、
無秩序の秩序というものを
分子的なレベルで組織してきた。

その無秩序な防潮堤は都市を取り巻いている。

無秩序の秩序化は
権力テクノロジーの基本的な方法論である。

防潮堤ほど、権力テクノロジーによる非構造化を
視覚化している高価な固体はないだろう。

共振する構造

3mの高さから落下させて、
バウンドして、その衝突のエネルギーによって
なおも共振しながらもさらにバウンドして
その衝撃をより短期間に減衰していく過程で
テンセグリティをより構造化する構造モデルは
そのシナジーの全体性を記述することの不可能なモデルであり、
その共振という現象を回避することの不可能な最初の構造である。

固有の周波数の電磁波と原子核が相互作用するように
われわれの生命を保護するための
共振する構造として。

よりコンクリートな構造

コンクリート(concrete)は
もはや凝結した固体的な物質観に支配された言語の一つである。

語源的には、<concretus(con-共に+crescere成長する>
成長過程を意味している。
そして、有形な明確な具体性を意味しはじめたのである。

テンセグリティ以上に構造を
張力と共に成長過程に曝す
つまり、より構造を<コンクリート>にするシステムは存在しない。

テンセグリティは、非固体的で圧縮材と張力材が
ついに凝結しない
永遠に動的に共存するコンクリートな構造である。

テンセグリティは、
間違って凝結した
われわれの言語を砕くために発見されたのだ。

構造をより構造化するシステム

壊滅された都市を復興させるのは
破壊される前の記憶である。

構造は最近の発見である。
構造は空間に関する知で継承された
古典的な問題でも最優先的な問題でもなかった。

構造をより構造化するシステムは、
構成部材の強度や剛性から到達できない
重さのない統合性なのだ。

構造をより構造化するシステムは
最近まで未知(unknown)であった。

真の構造を通過するエネルギーは
構造をより強化するように機能するノウハウを
人間はついに想像できなかった。

構造を通過するエネルギーと専ら闘っているだけである。

無媒介な力

権力は、イデオロギー的ではなく、無媒介な影響力によって
無益な学習と労働を強制しつづける。

住宅とその所有にかかる金利合計は
最大の無益な学習と労働を生む。

動くテンセグリティシェルターのデザインは
反権力的構造に根ざしている。

つまり、イデオロギーによる反権力的構造ではなく
太陽系の引力、つまり宇宙における重力はつねに無媒介である構造を
生命が利用するデザインである。
(重力波を媒介する粒子は未だ未発見である)

<否定的無>から<自律的無>へと

無管、無線、無柱、無軌道という4つの<否定的無>は
構造の自律性のテクノロジーと
エネルギー・食料の生産性のテクノロジーによって
都市や農村から
分離可能な<自律的無>へと変換される。

すなわち、沿岸部に全人口の80%を閉める
現在の都市文明から
人口のない内陸部の極地へと向かうのである。

あるいは、珊瑚礁の小さな島々を移動し続けるのである。

圏外テンセグリティ

テンセグリティというもっとも素材を使わない
非・資本主義的な構造は
西欧文明の圏外、つまり海の民(あるいはその末裔)でしか発展しないだろう。

テンセグリティ構造は、張力に関する「知」の操作主義から生まれた。
(「知」の操作主義を科学でもっとも成功させたのは
アインシュタインである。)

非・資本主義的な反イデオロギー的で
エネルギーと食料の高い永続性のある
コロニーを創出するには
圏外テンセグリティは最適である。

レイマンとしての動機(Know Why)

彼に合う前から、そして最後に仕事した1983年以後も、
「構造とそのデザインの多くの部分を、
バックミンスター・フラーの功績に負っている。
これからなすべきこと、思考し、言うべきこともまたフラーに負っていて
この期間は21世紀へと続くだろう。
シナジェティクスはより偉大になるだろう。」と考えていた。

1986年のバックミンスター・フラー研究所の理事会で
私から提案された<シナジェティクス研究所(Synergetics Institute)>
という名前の元での
私のシナジェティクスの研究開発とシナジェティクス教育の活動
(最初はアメリカで、後に日本で)が承認された最大の理由は
当時のアメリカ人は、バックミンスター・フラーよりも
シナジェティクスの重要さには
ほとんど無関心だからだという理由だった。

1986年以後、この30年間アメリカ人によるシナジェティクスに関する
重要な発見はほとんど存在しない。
そればかりか、シナジェティクス原理の発見数は
PCやインターネットの発展とはまったく比例していない。

その理由は、シナジェティクスを学ぶ人々が
シナジェティクスから生まれた英知を
短絡的な生きる手段にしようとしていたからではなく
シナジェティクス自体が
学問的だが退屈な権力思考(平均的な群れが好む党派性)と
その構造を変革するのではなく、破壊してきたからだ。

原理の理解から原理の発見は生まれない。
原理の存在もレイマンとしての動機(Know Why)に深く関わっている。
それは、シナジェティクスの<構造>に関する重要な生存機能のひとつだ。

隔てるデザイン

自由な個人を
互いに隔離するための
<壁と床>で隔てるデザインよりも
急流で隔たった谷間を張力的力学の<橋>で引き合わせる
行為がデザインサイエンスである。

対話させない社会の
無数の<壁と床>を破壊する行為よりも
簡単ではないデザインにちがいない。

批判の独創性

類似性に対する憎しみや攻撃性から
批判は生まれない。

批判の独創性は
差異(difference)に対する注意力と
寛大さから始まり、
つまり、
知性の特殊化への批判から生まれる。