動物と人間の構造における身体上の本質的な相違で
類人猿からの人類の直立が独自に問題視されるほど
建築の構造に於ける直立性は、人工物として認識される。
しかし、建築の構造に於ける直立性と自律性は
大地を除いてデザインされたことはない。
鉛直性は、その不動性と共に建築テクノロジーの産物として対象化されている。
人工物のなかでテンセグリティは
大地から自律しただけではなく
鉛直的テクノロジーから離脱して、ついに浮遊する構造として出現したのである。
地震で倒壊する危険を回避する最新の免震、制振、耐震構造といえども
より軽量化された浮遊する構造とは無縁である。
大気圏内を浮遊して自由に移動する
船舶や航空機の構造は
大地に依存しない反直立的な構造である。
直立性または鉛直性は、地表に生存する生命の
重力に対するテクノロジーの断片的段階に生じている。
直立性に基づいた不動性空間に生命の永続性は期待できないだろう。
哺乳類で唯一住居を購入する人類だけが
空間を移動する安全な住居機械(dwelling machine)を獲得できるのである。