月別アーカイブ: 2016年4月

相補的な規範

デザインサイエンスの視点は
知識と経験の統合点であると
同時に統合する前の知識を分散し破壊する原点でもある。

デザインサイエンスは二重構造を持つ。
直接的な理性の認識を行うが、同時に全体を俯瞰し判断するという
疑似権力的なものになる。

疑似権力的な社会性を抑制するのは
予測的クリティカル・パスである。

クリティカル・パスは
ポジティブなものとネガティブなものを
等しく扱う<相補的な規範>として提出する。

いわば、電子と陽子の相補的な相互作用として。

Gimme Shelter2

日本の高度成長期の平均的な人々が憧れた
都市生活の明確な基準であった団地の2LDKを再現すると
現在の平均的な人々が憧れる
平均的な生活水準以下であると言わざるを得ない。

建築空間は、当時もそして現在も
客体化及び服従強制の方式として機能しているのである。
(住宅は、住宅ローンの支払期限と調和した期間で設計される。)

真の空間製造技術とは
権力が引き受けた生命空間の領域が破綻する方法、つまり
エネルギーと食糧生産の自律性を生命空間に導入する方法である。
この方法は、大気圏外の宇宙ステーションの設計では前提条件である。

喜びと苦痛を分離するための
空間製造技術(=シェルターの量産化)は存在する。
なぜなら、平均的な人々の税金でその開発は、賄われたから。

インテリアデザイン2

レーシングドライバーが
速さと引き替えに快適性を捨てなければならないように
軽量化のために、居住性を排除したのがアウトドア用のドームテントだ。
ドームテントは、薄い皮膜によって内部と外部を形成する。

宇宙船の居住性は、インテリアデザインとは無関係に
生存のために用意される。

自然の細胞デザインにインテリアデザインは存在しない。
外部と内部の相互作用が
階層的なテンセグリティ構造をデザインしている。

二重の生体膜の内部に独自のDNAを持ち
分裂、増殖するミトコンドリアは、
真核生物の細胞小器官というもっとも小さな宇宙船である。

真の構造は、もっとも経済的に外部と内部を同時に形成する。

人間がデザインするほとんどのインテリアデザインが
半世紀後に陳腐化されるのは
外部との相互作用と絶縁してるからだ。

人々が地下資源(ウラニウムを含む)に依存するように。

インテリアデザイン

人類最古のインテリアデザインは
自然が形成した洞窟の側壁に描かれた壁画である。

現代のインテリアデザインや家具類は
しばしば規律訓練や矯正の装置として作られる。

それぞれの配置に個人が適応するように
巧妙な方法で空間が形成される。

彼らは、球状テンセグリティシェルターの内部を観る前に
その内部空間が自分たちの生活には不利益であると感じてしまう。

<規格的なもの>によってデザインされた
自分の所有する家具類は
標準化された空間をも肯定できるのである。
ーーーーーボタンからコートが作られるように。

自動車の原型デザインは
自分の所有する馬車の内部空間の再構成から始まったが
飛行機の内部空間の形成は、
鳥の飛行のメカニズムの分析から始まった。
そして、鳥の内部には生存できる模倣すべき
洞窟のような空洞はなかったのである。

より軽くより早く<動く空間>は
規律訓練や矯正の装置からは生まれない。

モデリングと経験

原理が発見される過程は
ありふれた局所的経験が互いに移動して
統合される過程なのだ。

バックミンスター・フラーにおいて、原理が発見される場所は移動したのだ。
それはもはや理論や実験にあるのではなく、
内的で交差したモデリングとその過程にある。

そのすべての過程の観察された<構造と意味>は
非同時的にしか理解できない。

この経験こそが、クリティカル・パスの確立への根拠となる。

風がない場所から

シナジェティクス原理の実在への探究において
その実在を主観性へと疎外する心像と
実在が客観的事実から秩序を形成するためのモデリングとの
決定的な分岐点を見出す根本的瞬間が
夢や、しばしば瞑想の中にもやって来る。

むしろ、客観的事実から秩序を形成するために
その根本的瞬間が訪れるのだろうか。

その瞬間が生まれる毎に、幸福な風が吹いてくる。

風は、風がない場所から吹いてくる。
夢を見る前の場所からにちがいない。

Gimme Shelter

Oh, a storm is threat’ning
My very life today
If I don’t get some shelter
Oh yeah, I’m gonna fade away

The floods is threat’ning
My very life today
Gimme, gimme shelter
Or I’m gonna fade away

War, children, it’s just a shot away
It’s just a shot away

I tell you love, sister, it’s just a kiss away
It’s just a kiss away

Songwriters: JAGGER, MICK / RICHARDS, KEITH 1969

住居機械(dwelling machine)

動物と人間の構造における身体上の本質的な相違で
類人猿からの人類の直立が独自に問題視されるほど
建築の構造に於ける直立性は、人工物として認識される。

しかし、建築の構造に於ける直立性と自律性は
大地を除いてデザインされたことはない。
鉛直性は、その不動性と共に建築テクノロジーの産物として対象化されている。

人工物のなかでテンセグリティは
大地から自律しただけではなく
鉛直的テクノロジーから離脱して、ついに浮遊する構造として出現したのである。

地震で倒壊する危険を回避する最新の免震、制振、耐震構造といえども
より軽量化された浮遊する構造とは無縁である。

大気圏内を浮遊して自由に移動する
船舶や航空機の構造は
大地に依存しない反直立的な構造である。
直立性または鉛直性は、地表に生存する生命の
重力に対するテクノロジーの断片的段階に生じている。

直立性に基づいた不動性空間に生命の永続性は期待できないだろう。
哺乳類で唯一住居を購入する人類だけが
空間を移動する安全な住居機械(dwelling machine)を獲得できるのである。