構造とは何かという問いが建築領域で辿った物理的・数学的軌跡は、
建築学ではその問いを退け、
耐震、免震、制振の機能を備えた疑似構造によって
その問いかけは遂に無力になる。
しかし、バックミンスター・フラーの発見において完結する。
すなわち、共鳴型テンセグリティ構造原理の発見。
テンセグリティ構造は、耐震、免震、制振のどの機能も本質的に包含するが
それらの機能のためのどんな部材も存在しない。
テンセグリティ構造には、どんな多重化システムもデザインされていない。
すべての局所的破壊から構造の深刻な破壊に連鎖しないために
優れた外力分散機能が自動生成されているのである。
建築学は、いまもフラーによる決定的な<リダンダンシーという概念の崩壊>を退けている。
予め構造を構造材によって多重化する行為で
そして、人々を構造の安全性への広範囲な幻想に閉じ込めたままである。