月別アーカイブ: 2016年7月

宇宙と環境の間

石器を作るには、適切な硬い石材が必要だが
それより以前に言葉という道具と概念が発明された。
石からは石器は生まれない。

それは、デザインサイエンスに
特殊な道具が発明されてきた理由と同じである。

それらの物質的な集積と共に、開発者との共同性という概念が
デザインサイエンスのメタフィジカルな開発環境を形成する。

宇宙と環境の間に、道具と概念が存在する。

翼の厚み

人間の皮膚の構造は、表皮、真皮、皮下組織からなり、
それぞれの厚さは、表皮が0.1〜0.3mm(最外層の角層が0.01〜0.03mm)、
真皮が1〜3mm、皮下組織は頭部や顔では2mm程度となる。

プランクトンだけを補食するトビウオには軽量化のために胃が退化している。
500メートルを連続して飛行できる透明な羽根の厚みは、僅か10ミクロンである。

この瞬時に展開して揚力を得る翼のフィルムには撥水性はないが、
撥水性があるシェルターの皮膜の厚みは、100ミクロンである。

人間の皮膚の最外層の厚みと、トビウオのフィルムの厚みは、同じであるのは
移動するには、その厚みで十分だからだ。

移動しない住宅やオフィスの最外層は、300ミリもあって
人々は、より重厚な空間に憧れている。

引用映像
トビウオ

座屈(buckling)

構造力学は
システムを通過したエネルギーが
そのシステムをより強化するメカニズムには
まったく無関心である。

現在の建築の構造計算は
圧縮力による 座屈(buckling)の言語しか語ることができない。
座屈の概念は、不安定な状態から倒壊という
もう一つの安定状態を説明しているだけである。

ゆえに、構造力学への批判または
構造への批判を通してしか
真の構造は発見されなかった。

シナジェティクスの過程

可能な構造すべての基礎であると同時に
認識の可能な限界でもあるような
物質の本質を規定しようと試みる。

その時、シナジェティクスの過程にいるのである。

自己から出発して宇宙と環境との相違がはじめて表明される
モデル言語の物質化への過程なのである。

構造のエフェメラリゼーション

1本の大黒柱(24cm角)の圧縮力の限界は30トン、重量は200キロ程度である。

1995年、私がデザインサイエンスプロジェクトで制作した
展開型テンセグリティ・ジオデシックシェルター(直径11m)の総重量は
150キロで、圧縮材のアルミパイプの直径は僅か17mmであった。)
2007年、張力材と圧縮材にカーボン材を使用した
直径6.5mのテンセグリティ・ジオデシックシェルターの
重量は僅か30キロ未満であった。

自律型テンセグリティシェルターの単位あたりの重量は、依然世界記録である。

構造のエフェメラリゼーション(=軽薄短小化)は、つねに加速度的であるが、
その真の機能は、社会では非科学的に誤解された象徴にしか使用されない。

『コスモグラフィー』(=宇宙起源論)

デザインサイエンスが自然と出会うのは、
デザインサイエンスが拡大していく人間の居住可能な領域(=地球惑星の大気圏内)でしかなく、
その結果、デザインサイエンスとシナジェティクスを
大気圏該から支配し自然についての知と人間についての認識の統一的なビジョンとされるような、
これまでの宇宙論的な視点を有する科学哲学は
『コスモグラフィー』(=宇宙起源論)にとって替わる。

デフォルト

経済が、稀少性とオークションいう絶えざる基本的状況を生成する限り
再生的な自然(デフォルト)と敵対していながら、
資源とエネルギーを合法的に奪い合い、
人間は自らの生命現象を
銀河系の特異な存在とする短命で放射的ビジョンの危険性に曝して
それ自身不活発で近視眼的な行為に耽るのである。

テンセグリティの破壊実験

構造の定義は、
しばしばテンセグリティの破壊実験に基づく分析によっても
人間の生存に関する習慣的概念に対立する。

人々は未だ航空機の破壊実験と同様に
テンセグリティの破壊実験を知らない。

シナジェティクスによる構造への分析と批判は
社会制度が持っている構造への恣意性を明らかにし、
これからより自由で自律した安全に移動可能な空間を
物理的に経済的に生成できるかを明確にする。