月別アーカイブ: 2016年12月

表層的で付加的な作用

総三角形化に関しては大円理論によってジオデシック構造が発見され、
張力に関しては、不連続と連続との統合理論によってテンセグリティ構造が発見され、
表面というものが表層的で付加的な作用にすぎないこと、
そして、建築を支配する人為的な記号システムを横断し、
人類の誕生以前にあって、時間と空間の中で生命を支えているのが
<構造システム>であるのを明かしたと同時に、
それまでは、<構造システム>という概念が
科学的には存在していなかったことが、1950年代には明確に認識されていた。

社会は、真実との驚くべきタイムラグに囲まれている。
インターネットで認識の同時性を獲得するのはまだ幻想に近い。

——欲望が表層的で付加的な作用に向けられているかぎり。

天才に関する洞察

以下の差は、だれにとっても興味深い事実である。
しかし、天才に関する、この著者の7と8および9の洞察には同意できない。

少なくともバックミンスター・フラーには不適応である。
つまりこの比較は、知的な凡人の思考に属する。

%e5%a4%a9%e6%89%8d%e3%81%a8%e5%87%a1%e4%ba%ba%e3%81%ae%e6%af%94%e8%bc%83

流体地理学

宇宙論的な視野が誘導する地球を外部から見る行為が
1940年代のダイマクションマップの開発の根拠となる<流体地理学>
(=一つの海に浮かぶ島々という流体の連続性)を形成した。

この宇宙論的な視野が、その後のグローバリズムの理念にとって替わったのは
超国家的権力構造によって、遠隔から支配する軍隊と基地、そして
高性能な小型武器の開発が最優先されたからに他ならない。

自然と出会うためのテクノロジーが
人間の居住可能な場を生み出すはずだが
極地における居住可能な場のほとんどは、軍事テクノロジーによって形成されてきた。

同時に、バックミンスター・フラーによって創始された<流体地理学>は、
流動する大地を前提にしたモバイルテンセグリティという
最小限の移動可能な極地用の構造デザインと融合したのである。


『宇宙エコロジー』(バックミンスター・フラー著、梶川泰司訳 2004)
第7章 <流体地理学の誕生>自己エコロジーのための全方位カメラ(ジオスコープ)参照

稀少性

贈与経済学者は死んでしまった。
その構造を研究する哲学者もいない。

絶えず稀少性を独占する経済システムは、
有限な資源とエネルギーという不活性的で非再生的な自らのシステムによって
人類の生命を危険に晒す。
そして、稀少性は戦争機械のエネルギーである。

真の稀少性とその神秘は、
宇宙の元素の存在度とその分布パターンにしたがって再生される
物質と生命の相互作用に備わっている。

ユーティリティとエンジニアリングと、 そしてシナジェティクスとの空隙を埋めるもの

シナジェティクス的思考の黎明さは
20世紀を代表するヨーロッパの哲学者や
アメリカ国内の数学者たちの言及を遠ざけるほど
独創的であった。

見失った思考体験をそこに再現するためではなく、
モデル言語の様々な可能性に近づけるための原型的思考方法を
バックミンスター・フラーが開示したのは
1940年代である。

テンセグリティ・ジオデシックスから
派生する種々のユーティリティとエンジニアリングと、
そしてシナジェティクスとの空隙を埋めるのは
幾何学にはない原型的思考である。

ジオデシックス理論よりも前に
テンセグリティ原理を発見した
非論理性と論理性から未知の領域を侵犯するフラーの思考の黎明さは、
現在の教育システムや幾何学的党派性からは
けっして複製し再生されないように企てられたのではない。

それは素晴らしい言語の機能ではないだろうか。
宇宙の結合と解離の不変的システムを理解し、再生するために
発見された言語の特性なのだ。

起源論的思考

シナジェティクスにおける起源論的思考は、
幾何学にはない。

批判であると同時に存在論的であるような、
形態と数字の相互作用から
思考形式に及ぶ本質的な探査は、
ギリシア幾何学を起原としない。

驚くことに、この起源論的思考は
アインシュタインに始まる操作主義的な哲学的系譜として
『コスモグラフィー』(バックミンスター・フラー著、梶川泰司訳 白揚社)まで考察されなかった。

反・人工物

シナジェティクスは、
新しい幾何学の<啓蒙>の手段でもなく、
宇宙のシナジー現象を無料で模倣しながらも
教師たちの知の独占意欲をかき立てる
プロパガンダ用アイテムの宝庫でもない。

多面体愛好者たちのプロパガンダ用教材が
シナジェティクスのモデル言語を翻訳したことがない。
それらの<多面体>という概念自体が、
ギリシア時代の大理石の加工技術から形成された<固体>概念による
認識方法とその限界を表している。

固体的多面体の世界観は、バックミンスター・フラーレーンの
構造的安定性を証明できなかった。

シナジェティクスは、すべての教育的な<啓蒙>を批判し、
<概念の牢獄>から脱出するための爆破または離脱システムなのだ。

このシステムは、人間がデザインする人工物ではない。
 

反転操作による多極化

エスタブ・軍産リベラル系のマスコミや言論人が
法律家資本主義下の軍産支配を打ち砕くための
ロシア傀儡の疑似ニュースを
多数派のように見せかけて非難する日は
日本ではやって来ないだろう。

マスコミの言論人の質が最初から低下させられて開始しながらも
人々に広く長く、否定ではなく、軽蔑でもなく
多くの人々は軽信して、幻想に満ちた<個性>と<個人性>を
ただ生きているだけだからだ。

つまり、より強化する軍産支配はこれからだったはずが
世界はすまます多極化する速度を上げている。

世界権力構造の多極化は、第2次世界大戦から始まった。
最初は、イギリス大英帝国とアメリカ合衆国という
内部と外部の入れ替わりと同時の最初の<極性の反転操作>だった。

このトポロジー的反転操作こそ、イデオロギーを超えたグランチの
ノウハウと腕力である。

双頭の龍の脳は、入れ替わっても変わらぬ双頭である。
この双頭の龍(=安物の西部劇に飽きた人々でさえ、命をかけて互いに熱中してきた)は、
今や世界中で複製されている。

焚火

確実性を求める人生は退屈だが
可能性を探査すると
ついに自分のことはどうでもよいことになり
早く短く時が過ぎていくとき
焚火で過ごす長い夜がやって来る。

星空を渡る夜鴨とコウモリを背景に
朝焼けに繋がる星々が強く輝くとき
背戸の獣たちは
焚火から静かに去っていく。