昼となく夜となく
風が強い日に
庭に係留した直径2mの球状テンセグリティから
断続的な低い共鳴音と高い共鳴音が
交互に、そして時折、同時に聞こえてくる。
固有の長さからなる弦の振動が
互いに分離したアルミパイプを支持しながら
それぞれの空洞の内部で共鳴しているだけではないのだ。
テンセグリティ自体が
圧縮材と張力材の相互作用によって固有な振動数を形成し
風による振動が固有振動数に近づくにつれ
振幅が急激に増大しテンセグリティ全体が共振しているのである。
ランダムな風という外力を分散する過程で
テンセグリティは半径を可変させながら
非同時的で局所的な共鳴音を
一つの共振音として統合しようとしているのである。
気まぐれなベクトルの風は
テンセグリティを共振テンセグリティに変換する。
植物の<光合成>のように
テンセグリティは<風合成>しているのである。