究極の構造システム

建築における構造設計では、これまでコンピュータによる計算結果よりも
数倍の安全率を使用してきた。航空機の場合は、せいぜい2倍を超えないのは
その安全率の起源と必要性を熟知しているからである。

技術的な無知の増大によって、構造の自重の増加に伴った安全率も自ずと増大する。
より大きな安全率は、より大きいリダンダンシーと荷重分散に対する自由度を失う。
航空機では機体重量の増加は、死の危険性ばかりか、飛行の経済性をも失うだろう。

耐震や免震、そして制振技術以上に、構造の軽量化と剛性化をも統合したテンセグリティは、
究極の構造システムである。

しかし、構造に関わる専門家たちが、テンセグリティが非実用的であるばかりか
もっとも危険な構造だと信じ込まされているのは、構造の自重増加が
材料費と施工費の増大による利益率の増加をもたらしてきた経験からである。

住宅は、航空機や自動車の安全性能や燃費性能、耐久性への革命に比較すれば、
暗黒時代の産物である。

バックミンスター・フラーによるオクテットトラスのテンセグリティ構造体 1980

tensegrity module