無(Nothing)という未知(Unknown)

社会科学において、情報は「発信者または受信者にとって何らかの意味を持つもの」として扱われる。
「記号−意味」化された情報が世界のコミュニケーションを形成している。
コミュニケーション世界において、
「記号−意味」化された情報をもたない領域は「無意味=ナンセンス」と呼ばれる。

自然科学において、情報は意味を考慮に入れない符号として扱われる。
例えば、存在しない物は数えられないという概念を打ち破ったのが、ゼロの発見である。
「宇宙(Universe)」には、この既知なる概念のすべてが含まれる。

一方、東洋のメタフィジクスにおいては、
意味を考慮に入れない符号さえも存在しない領域は「無(Nothing)」として扱われてきた。
「未知(Unknown)」とはこの「無」を含むすべてである
(一方、コミュニケーション世界における「未知」とは、「記号−意味」化された情報の不在だけを扱っているのである)。

シナジェティクスによる「自然(Nature)」の定義では、
この「未知」と「宇宙」を含む。
この「自然」という概念の劇的な変容は、
ことごとく科学的原理の発見=既知なる符号間の新たな相互関係によってもたらされたものである。