月別アーカイブ: 2018年2月

春の嵐

止むことがない外力と衝突する前に、
外力を受容し、
非同時的に外力分散するシステムは、
けっして劣化しない。

過剰な外部エネルギーから過ぎ去るために内部は
外部エネルギーによって全方向に秩序化されるのである。
システムは、より組織するために部分を絶えず再生する。

テンセグリティシェルターは
瞬間風速30メートルの春の嵐を待ち伏せる。

設計図とプロトタイプ

概念的な思考は系統的であるが、つねに部分的で不完全である。
しばしば偏愛的な段階と細部を含む。
設計図とプロトタイプとの違いは圧倒的である。
真の機能は図面化できないほど互いに重なり合っている。

統合的な思考はプロトタイプにある。
原理はプロトタイプと共振する。

住宅の壁は、構造の一部である。
外敵からの攻撃やプライバシーの保護のために
その壁は、つねに不透明である。

建築構造では、
この防御壁は不可欠な構成要素であるが、
壁は、無知と恐れが物質化したのである。

植物の茂みが内部空間を分割するシェルターに防御壁は不要だ。
シェルターを覆うフィルムは、
内部と外部の境界面、そしてテンセグリティの張力面としてのみ機能する。

予測的人類学

単一な植物を大量に栽培するには、
肥沃な大地に群れとして接近する大型の単一の動物の家畜化が前提だったという人類学は
農業化と酪農化の専門分化を支持してきた。

単一の植物の栽培化と動物の家畜化のための社会構造化から
遊離できる自然農に接近するには、
もっとも経済的で耐久性の高い全天候性のセルフビルドのシェルターが前提となる。
高温と寒冷、そして放射物質から防御するセルフビルドの農業用シェルターも含まれる。

その結果、最小限の田んぼと畑、そして水の再生と
電気エネルギーの自律的な生産が十分に確保できるのである。
これは予測的デザインサイエンスである。

平均律テンセグリティ

平均律は1オクターヴなどの音程を均等な周波数比で分割した音律である。
バッハの「平均律クラヴィーア」は、鍵盤楽器がどのような曲でも演奏できるように
「良く調整された(well-tempered)」音階から構成されている。

吊り下げられたあるいは机上の静止したテンセグリティの張力材は、均等な周波数を保てない。
軽量構造といえども、重力の影響を受容し、その自重による形状の変形から逃れるために
張力材は「良く調整された(well-tempered)」音階から構成されている。

共鳴テンセグリティは、
共鳴するためのより調整された張力をつねに求めている。

素朴な存在

純真な、それゆえに先入的知識がない素朴さを、人間は教育できない。
それは、先天的な存在である。
真の素朴さは、神聖さと類似している。
ほとんどの人間の住居は、それらを受容するためにデザインされていない。
利便性と快適性は人間が教育可能だからである。

微生物の森

暗闇を突き抜ける電磁波は見えない。
行き先のない風は聞こえない。
名もない草は、群生しない。
流れる雲は、動く森から生まれる。
畑は、転送された自然だ。
1立方センチメートルに、
数十億の微生物の
見えない電磁波と風のようなネットワーク。

ベクトル平衡体の発見

大理石でモデリングされた
プラトンの正多面体(Platonic Solids)は、
物理学による宇宙の実在性の代理は果たせなかった。
その世界観を変えて、幾何学を変えるまで数千年間もかかっている。

1944年、バックミンスター・フラーのベクトル平衡体の発見によって
稜線がストラットに、面が窓に、そして、頂点がジョイントに変わるまで、
動的宇宙は、幾何学に反映されなかったのである。

情報の拡散に比べて、
自然に横たわる原理とその概念化への理解は実にのろまである。

SYNERGETICS
Fig. 460.08 Symmetrical Contraction of Vector Equilibrium: Jitterbug System:

方法の蓄積

「数打てば当たる、ノウハウはそれで貯まる」といった
専門家たちを信じてはいけない。
当たる的があることが前提のどのようなノウハウからも、
新しい方法や課題には遭遇できないからだ
問題を解く方法に新たな問題を発見する方法は、含まれない。
ノウハウの蓄積のみに、未来はない。
ノウハウの破壊が含まれないから。