テンセグリティ」カテゴリーアーカイブ

原型(prototype)

(1)形態が圧縮材の配置パターンを決める
(2)張力が圧縮力を決める。
(3)張力が圧縮材の細長比を決める。
(4)その細長比が最小限の圧縮材の重量をきめる。
(5)張力材の長さが固有振動数を決める。
(6)ネットワークパターンが構造全体の強度とその共鳴作用をきめる。
構成要素(皮膜材、張力材、圧縮力材、ネットワークパターン)が
相互作用しながらテンセグリティを生成する構造の原型は
どの構成要素からも推測できない。
鋳型とはプロトタイプの異名である。

SYNERGETICS RBF 1975
Tetrahedral module

自律する構造

ジオデシックドームでさえ半球ゆえにまだ総三角形化されていない。
基礎がなければ不安定である。
構造の不安定さは総三角形化の不完全さに起因する。
この欠如は表面的な改善や対処によって解消することが出来ない。
ジョイントの金属化などの合成化は重量とコストの増加を伴う。

構造への理解はあらゆる関係における自己への働きと
その相互作用への不断の気づきによって総三角形化される。

基礎を不要とする世界初の完全自律型テンセグリティシェルター 直径6.5m 重量30kg
構造デザイン・プロトタイプ制作 シナジェティクス研究所 2008年

Gimme Shelter

真の空間製造技術とは
権力が引き受けた生命空間の領域が破綻する方法、つまり
エネルギーと食糧生産の自律性を生命空間に導入する方法である。
この方法は、大気圏外の宇宙ステーションの設計では前提条件である。

喜びと苦痛を分離するための
空間製造技術(=シェルターの量産化)は存在する。
なぜなら、平均的な人々の税金でその開発は賄えるから。

繊細さと強靱さ

繊細で強靱な構造が発見されるまで
構造の単純化のプロセスは人工的であった。
doing more with lessによる
もっとも単純な自然の構造はテンセグリティである。
相反する繊細さと強靱さは、外部のゆらぎと共振する。
5月の緑の風や川のせせらぎ、そして星々のきらめきと共に。


一筆書きの張力材によるテンセグリティ構造 制作 シナジェティクス研究所 1994

非金属合金

テンセグリティは
圧縮力と張力という相補的で非鏡像的な存在を
同時的に非同時的に統合する。
しかしそれらを同時に理解できないので
どちらか一方の物質の情報から理解しようとする。
テンセグリティをバラバラになろうとする形態に感じてしまう。
テンセグリティ構造は非金属元素からなる合金である。

SYNERGETICS RBF 1975
複合化した20面体状テンセグリティ構造

ダイエット

ダイエットとは、食物を選ぶ生き方である。
構造の軽量化は、技術のあり方である。
航空機などの人工物だけではなく
細胞やフラーレンにも見られる。

共に単位体積に対する
物質とエネルギー・時間を制限する
テクノロジー(doing more with less)である。
自然の方法は、機能の犠牲を伴わない。

展開型テンセグリティ構造1995

静止状態の固体現象は発見されなかった。
出来事は物から記述できない。
機能は物からデザインできない。
私が発見したシナジェティクスモデルはすべて動く。
テンセグリティ構造でさえ展開型にデザインできる。
1995年直径11mのモバイルテンセグリティシェルターが制作された。

1995年バックミンスターフラー100年祭(ニューヨーク)で展示された
展開型テンセグリティ構造モデル(直径200㎝) 
構造デザイン 梶川泰司 
制作 シナジェティクス研究所


『宇宙エコロジー』バックミンスターフラー+梶川泰司 著 美術出版社 2004 p352

シェルターの球形化率

最も効率的に飛行する鳥ほど、卵の非対称性または楕円率(楕球率)が高くなる。
そして、卵の形態は産卵数や環境要因、巣の形態とは無関係である。
卵は鳥の飛行経験から航空工学的にデザインされる。
卵黄が卵管に排卵され、卵管内で卵黄の周囲に卵白が形成され
最後に卵殻が形成される。
産卵以外のすべてが飛行中に形成されている。

人間の効果的なモバイルへの要求によって、
激しい風雪に対して
シェルターの球形化率と半球の非対称性を採用し、
その直径に対する2層皮膜の厚み率を
卵の直径と殻の比:1/100よりもさらに低くデザインした。

モバイルシェルターは、定住するためではなく
移動経験から球形にデザインされ、
すべての構成部品は移動中に調達される。

卵と飛行

飛行機能と安全な産卵と巣をデザインした結果、
鳥とその卵の大きさの比は種類毎に異なる。
ウズラの卵は小さいが、鳥と卵の大きさの比が鳥類の中で最大になる。
人間の大きさと住宅との大きさの比は、経済的格差で容易に変動する。
生存用のテンセグリティシェルターの直径は
最小限の重量と構造の相互作用から科学的に設定できる。

動物行動学的に、飛行と産卵の関係はモバイル性と住居との関係である。