主観性=自己投影される自己の意識において
個人が自己と他者性とで保つ諸関係は
実は構造ではないのかという問いかけから
テンセグリティを理解しないのだろうか。
自己の動的均衡のために
なぜ圧縮材が不連続であり続けるかを
問いかける必要があっただろうか。
モデル言語は、形態(form)には存在しない。
主観性=自己投影される自己の意識において
個人が自己と他者性とで保つ諸関係は
実は構造ではないのかという問いかけから
テンセグリティを理解しないのだろうか。
自己の動的均衡のために
なぜ圧縮材が不連続であり続けるかを
問いかける必要があっただろうか。
モデル言語は、形態(form)には存在しない。
シナジェティクスは
自らの構造原理の解析と統合の方法を書き込んだ
コスモグラフィー的情報から
突如構築される。
自然のシステムを再現する
シナジェティクスのモデル言語は
自らのモデルが帰属している言語の価値と意味作用とを
劇的に変えてしまうほどのシンタックスを前提するようになるのだ。
構造とパターンの生成には
このシンタックスとセマンティックスの相互作用が関与する。
この相互作用の発見には、
テンセグリティシェルターの内部空間こそ
その触媒作用をもっとも加速する場所である。
テンセグリティシェルターは
生活器であると同時に
コスモグラフィー的情報を受け取るための
優れた受容器である。
風が吹くと
テンセグリティは共鳴する。
いくつかの共鳴音から風の速度が推定できる。
これまでその音楽に耳を傾けなかったのは
動的均衡を音に変換できるとは
考えていないかったからである。
パイプの片側表面が常時乱流境界層に保たれるためには
パイプの振動による乱流境界層が必要なのである。
パイプという圧縮材の共鳴には、
テンション材の振動数を調整するための
高度の調律の技法が必要であるが
テンセグリティを通過した風は
鏡面音と共に整流されている可能性がある。
もしテンセグリティの張力材の調整にターンバックルを使用すると
この音楽は、すっかり後退する。
建築とはいくつもの手続きからなる総体である。
この認識から、テンセグリティ構造のメカニズムの分析が
テンセグリティに関する原理の理解の始まりになることは
ほぼ不可能である。
分析から真の構造は学べない。
むしろ、その分析方法を破壊するべきである。
つまり、テンセグリティ構造の本質的な破壊とその方法とは何か。
スネルソンがもっとも知られたくない方法でもある。
自分自身の存在以外の何ものをも受容しない固体的構造が
振動を拒む状態が続く限り
ある振動数によってその構造は最終的に破壊される。
自己充足する構造は宇宙では存続できない。
テンセグリティ構造は
システムを通過したエネルギーを
そのシステムをより強化するようなシナジー作用を形成する。
つまり、外部エネルギーを受容し分散しないないテンセグリティ構造は
テンセグリティではないのだ。
この動的な共鳴現象には
時として、美しい共鳴音を伴う場合がある。
微風に吹かれるだけで球状テンセグリティは
風のエネルギーを音に変換することができる。
共鳴音を形成しないテンセグリティモデルは
まだ調律されていない楽器であり
フラーレンは、自然が調律した最小限の楽器である。
しかし、アーティファクトの共鳴テンセグリティを作成できる
シナジェティクスの探求者は
世界でまだ3人しかいない。
驚くべき非共鳴型学習方法がまだ支配している。
テンセグリティは誰が発見したか
バックミンスター・フラーはテンセグリティをいつどこで発見したのだろうか。
これまでこの疑問に答える明確な書物はなかった。
みんな情報の受け売りだった。
それゆえに、人々は現在も活動しているケネス・スネルソンの発言を重んじてきた。
構造の歴史において、
もっとも重要で単純なこの事実を
当時ロサンゼルスからサンタバーバラに移転した直後の
バックミンスター・フラー研究所のアーカイブの膨大なクロノファイルに分け入ることで
ついに閲覧し、確認する機会がやってきた。
1986年、バックミンスター・フラー研究所主催の最初のシナジェティクス講義と
ワークショップの講師として滞在していたときのことだ。
スネルソンとの往復書簡にその詳細な記録が記されていた。
1949年、バックミンスター・フラーはブラックマウンテン大学で、
最初の球状テンセグリティモデル(6 struts tensegrity)を制作している。
驚くことにスネルソンの目の前で、
圧縮材が互いに非接触で、不連続なテンセグリティは
地球上で最初の共鳴構造を顕わにした。
しかし、それは若者に純粋な原理に遭遇する苦しみが始まった瞬間だった。
I wish you hadn’t discoverd that.
If you had produced it, I would have acclaimed you ever more.
これはフラーの最初のテンセグリティのモデリングが完成した瞬間に
スネルソンがフラーに投げつけた言葉だ。
彼は歴史的発見を受け入れられなかったほど混乱している。
テンセグリティを作品化しする才能が
テンセグリティを産業化する才能と重なる必要はないが、
原理の単純さのまえにして、晒される芸術家の自惚は度し難い。
他者によるテンセグリティ原理の発見の瞬間に共鳴できなかったスネルソンは
この手紙の公開をもっとも怖れているに違いない。
しかし、スネルソンの言説が
テンセグリティの構造としての有用性を信じていない
超専門分化の代弁者に仕立てられていることの方が深刻だ。
(全文引用)
2010-01-28 (木)シナジェティクス講座 | テンセグリティ理論から
建築コードとしての構造理論は、
法的な主体による法律上の概念に基づいているが
自然における構造の統合性の分析は
自己の自己へのテクノロジーによって形成された
主体の倫理に基づかなければならない。
テンセグリティがまだ建築コード化されていないのは
バックミンスター・フラーの
自己テクノロジーから生まれただけではなく
テンセグリティ以上に自然に属している純粋な構造は
発見されなかったからである。
シナジーが、人間にとってつねに未知(unknown)を含んだ
構造を形成しているかぎり
人為的な記号テクノロジーは時代遅れである。
真理なる構造へと至る
至高な自由を内包するためには
テンセグリティのように
イデオロギーに依存しないまま
共鳴現象を引き起こす。
——–外力を分散する過程において。
それは構造を分析することでも、その分析の基礎を構築することでもない。
デザインサイエンスの目的は、構造とパターンにおいて
人間が空間に服従化されている
様々な空間様式についての歴史から
数学的に科学的に、そして心理的に離脱することであった。
モバイル・テンセグリティシェルターを自らデザインし、
プロトタイプを製作し、
そして複製化可能な製品化へのプロセスは
そのもっとも効果的な手段を形成する。
個人化のための空間形成によって
主体化を矯正するこれまでの空間産業化が存続できないように。
デザインサイエンスのプロトタイプとは
国家とそれに結び付けられた
都市集合型の個人化の企てから解放する概念の母型を物質化する
包括的な行為である。
そして最軽量化された構造こそ
原理とその発見によって
もっとも非物質化された構造とパターンを内在しているのである。
5年を経過したデザインサイエンスプロジェクトは
いよいよ原寸大のモジュール製作に移行する。
テンセグリティ構造のシナジー作用を、
つまり、全体性を論理的に解析することは不可能である。
しかし、その物質的かつ非物質的な統合作用を回避することが
不可能な段階で構造を試行しなければならない。
解析と統合が、可逆的に言語化されていないだけなのだ。
つまり、テンセグリティ構造は
しばらくは発見の宝庫である。