テンセグリティ」カテゴリーアーカイブ

The last straw breaks the camel’s back.

最後の藁一本がラクダの背骨を砕く時、
背骨という圧縮材の限界ではなく
粘膜と筋肉による張力と
背骨という圧縮力との
統合力が限界に達したときなのだ。
つまり、振動の停止が突然やってくると
圧縮材は座屈(buckling)を生じる。
テンセグリティの固有の振動は、
不安定な状態や圧縮材の座屈を回避するための機能である。

張力の役割

張力の役割は、張力による振動以外に
その現象に抗して見かけのはかない形態を打ち立てると共に、
見かけの形態に振動によるシステムの自律とその意味を与えることにある。
張力は、張力による統合という動的な秩序のもとで
はかなさと振動を相互に打ち消す力を持っているのだ。

非軽量化のテンセグリティ

テンセグリティを個人的な芸術作品にするための
芸術表現の正当化は、モービールに影響された
彼の初期の彫刻作品から後の
軽量化を排除した非工学的な歴史である。
たとえ、現代美術の美の諸基準に従っていたにせよ。
彼はインタビューで
テンセグリティは人間の住居にはもっとも<危険な構造>と
考えていたことを告白している。
一本の張力材の破断が構造の破壊を引き起こすという
幻想に浸れる美学は
作品の緊張感の維持のために
非工学的な歴史は拡張された。
太いステンレスパイプの圧縮材と
ステンレスワイヤーのテンション材から
浮遊するテンセグリティは生まれない。
非軽量化されたテンセグリティはもっとも危険な非構造である。
彼が閉じたテンションネットワークを発見できなかったのは、
表現の根拠が、しばしば表現の自由という概念に覆われたまま
それは古代における道徳的経験の
道徳的意志の中心にあったものと変わらなかったからである。

非物質化

テンセグリティの歴史を書こうとするだけで
この張力に対する異なった種々の現実を考慮に入れなくてはならない。
つまり、それは固体の歴史であり、
国家がそれぞれ違う決定の機構を通して提示する構造の定義やその価値に
どの程度張力が順応してきたかどうかを研究する歴史でもある。
圧縮材と張力材が、構造を形成する構成要素として対比される歴史は
バックミンスター・フラーから始まる。
それ以外は、要塞建築のための張力が存在しない圧倒的な
権力による固体の歴史である。
対比されるまでのそれらの背景には
シナジーの非物質化へのテクノロジーを獲得するための
圧倒的な単独者によるモデル言語の歴史がある。

テンセグリティの排気量

基礎がなければ、自立しないテンセグリティは
構造ではないばかりか、
テンセグリティでもない。
浮力計算を必要とする船には排水量
(船を水上に浮かべるための押しのけられる水の重量)があるように
ある種のテンセグリティ構造には、浮遊するだけの排水量または排気量
(構造を水上または、大気中に浮かべるための
押しのけられる水または気体の重量)があり、
けっして大地に自重を流さない。
テンセグリティ分類学はこれからだが
その分類学は、つねに破壊されている。
数万年間、構造を作ってきた人間は
構造をまだ定義していなかったからだ。

振動する思考

どんなテンセグリティモデルも
圧縮材を統合することについて
そして、張力材による統合について
つまり、自分が行使できる統合方法を具体的に考える
プロセスに生まれる。
そして、テンセグリティ制作者は
この統合が何を意味するかを
知るために考え、
ついに、自分に相応しい思考によって
思考にふける。
テンセグリティが振動によって
自らを安定させるように。

張力調整の不確定性

テンセグリティのテンション材の調整は
ノウハウと呼ばれる辛抱強く
しかし、妥協に満ちた経験知によって
置き換えられてきた。
その歴史は
ターンバックルによる張力調整の不確定性にある。
このテンション材の妥協に満ちた調整の歴史において
もっとも滑稽で破綻した行為は
テンション材の不確定性を排除するために
針金に置き換えた図学者がいる程である。
針金の両端は曲げられてアルミパイプの中に挿入された
このモデリングに
張力が不在であるばかりか
学者としての誠実さ(integrity)は
張力を統合するまえに消滅したのである。
この非科学的なトリックは
太陽系から引力による相互作用を否定し
固体的世界観を優位にした瞬間でもある。
テンセグリティを学んでも
固体的概念の牢獄はむしろ強化され続けている。
テンセグリティは形態(Form)ではない。
メタフィジックスのモデル(Model)である。
張力は非物質化への重要な段階である。
———–重力のように

大地が震えていても

外部からのあらゆる瞬間に震えていたら
豊かな内部の感受性は維持できないだろう。
テンセグリティは
絶えず目に見えない振動によって
柔軟な強度を物質化している。
テンセグリティは
生物学でも物理学でも
天文学でも
建築学でもなかった。
まして、金属学ではないが
テンセグリティはもっとも有機的合金に近い。
たとえ、金属と炭素との化学結合を含む化合物から生成されなくとも。

部分と全体 

部分の寄せ集めからは
全体が生まれなかったからこそ
部分にはどんな全体の情報も存在しない。
組み込まれたプログラムによって活動する脳から
生成されないメタフィジックスがある。
たとえば、テンセグリティシステム。
対称的か非対称的かに関わらずそのシステムは
全体からやってきた。
バックミンスター・フラーの最初のジオデシックの特許には
ジオデシック・テンセグリティ構造が含まれている。
彼は未来から過去をデザインしていたので
いまから半世紀前のテクノロジーが
現在にもっとも適応している。