知的に装った無知(darkness)ほど
複製されやすいものはない。
自然に対する無関心さは
無限に掛け替えられている。
「テンセグリティ」カテゴリーアーカイブ
続2)複製モデル
テンセグリティのリアルなユーティリティへの変換を
もっとも怖れたのは、建築家と彫刻家である。
彼らは軽量化と量産に無関心である。
実用性(utility)
実用性を考える必要のない人々にとっては、
テンセグリティモデルはなんと気楽なオブジェだろう。
フィクションは実用性を怖れている。
続)内部と外部について
それは、自然から隔離するテクノロジーではなく
自然と融合する峻烈な試みから生まれる。
大地を移動するこの宇宙船は
船や自動車、飛行機に比べてまだ不完全だ。
つまり、移動を止めてしまった家に
長くしがみついた結果
内部と外部の生きた相互作用が消滅しかけているのだ。
内部と外部について
アウトドアは
ドアを隔てて内部と外部が存在する家の概念から生まれた。
その内部はドアや壁の厚みで包まれている。
自然から隔離するためのこれらの厚みが
建造コストの大部分である。
永続的な皮膜とモバイルシェルターとの結合方法の
経済的な発明がなければ
紫外線と風雨と外気温の激しい変化で短命に終わるように
皮膜と構造を統合するテクノロジーがなければ
自由と自律から、簡単に分離そして解離される。
内部と外部を隔てるテクノロジーから
モバイルシェルターは生まれない。
非致死的調査
人間が水深150メートルも潜水できるのは
60兆個の細胞テンセグリティと
地球規模の血管ネットワークのお陰だ。
毛細管を含めると人間の血管というネットワークの総長は地球1周分もある。
ただし、それは圧縮材のネットワークだ。
水圧をかけたホースは鉄のような圧縮材に変換できる。
(その時ホースはけっして長さ方向には延びない。
直径が拡大されるのみである。)
哺乳類の鯨が300メートル以上も潜行するのは
深海に住む生物を餌にするためだけではなく
塩分の濃い水深での地球規模の高速通信ネットワーク網に入るためでもある。
地球の裏側いる仲間たちと非同時的に通信するのだ。
こうした事実は、日本の類資源管理技術から発見されなかった。
———-偽装された捕鯨調査情報などは、即座に共有されているにちがいない。
構造の死
古い構造が死んで
新しい構造が生まれるのではない。
テンセグリティが発見されるまで
構造は存在していなかった。
つまり、構造が死ぬことさえ不可能であった。
この科学的事実を認識できないほど
専門分化は概念の牢獄に繋がれている。
構造は容易に記号のテクノロジーに
置換されてきたのである。
これから構造が誕生する前に、概念が死なない限り
テンセグリティ理論でさえ
実験から理論を陳腐化できないのだ。
さらにその理論が作業仮説という
デスクトップ上( desk top theory)に存在する限り
まだ原理ではないのだ。
これらの操作の過程で
原理の発見は偶然にやってくる。
偶然はまだ構造のように記号化されていないからだ。
エネルギー、食料、シェルター
バイオスフィア内で都市部に定住する人類はより増加している。
火星移住計画は準備されてきたが
バイオスフィア内で25年間も頻繁に移住できる
シェルターはまだデザインされていない。
新たなシェルターが現れるには
ライフスタイルの選択からではなく
古い概念がすべて終わらなければならない。
バイオスフィア移住計画には
分離または隔離しても自律できる
エネルギー、食料、シェルターの個人による
製造方法の確立が必要だ。
われわれは再び生産者になるのである。
美的存在
彫刻家によって
テンセグリティ原理が応用されるとき
構造の軽量化よりも
美的存在とその永続性を優先した
素材が選択される。
ステンレスパイプやワイヤーロープなどの
腐食しない重い金属が必要とされる。
さらに決定的に
皮膜材を張力材に採用しない暗黙の了解がある。
つまり、美的なオブジェとしてすべての細部がデザインされ
テンセグリティは空間構造としてはけっして考察されない。
素材の構成から<構造>を除外した概念が解析できるのは
流行する様式のように
衰退していく思考方法の特徴であるが
それゆえに伝染しやすい。
トリムタブ再考
高速戦闘機では、翼の中でも
補助翼(補助翼、昇降舵、方向舵)の3種の舵の
軽量化と表面剛性が優先的に必要である。
零戦の設計では構造重量を軽くするために
翼の一部を羽布張り構造(=飛行機の翼に用いる布)の
表面にしていたようだ。
(8歳の時に、零戦の木製の精密モデルを作成した時に
この軽量化のエンジニアリングにかなり興味があった。)
しかし、高速飛行時には空気という高速の流体で
その羽布の表面が内側に凹んで平滑な曲面が失われ
補助翼はやがてトラス構造から羽布張り部分が
膨らんで破裂する危険性があった。
フレキシブルな表面材による構造のこのような欠点は
トラス構造のテンセグリティ化によって応力外板構造に変換し
軽量化も飛躍的に向上させた上で機体剛性も向上できる。
同じようにテンセグリティシェルターでは
ハリケーンや台風などの激しく変化する高速の風圧に対して
表面が内側に陥没(ディンプル)しないように
シェルターを空力学的に解決し
同時に機体剛性と強度を飛躍的に向上できる。
最大のテンセグリティシェルターのデザイン上の問題は
皮膜材と構造の同時的・非同時的な
人力での短時間によるアセンブル方法とその全コストである。
テンセグリティシェルターは
飛行機と同様に、大気圏を移動するための
効果的な地上用のトリムタブだからである。