テンセグリティ」カテゴリーアーカイブ

より重要な部分

より大きなプロジェクトには
より小さな知性しか宿らない。
われわれのすべての危機は、
より重要な部分を
専門家に委任してしまった社会構造が引き起こしている。
これはテンセグリティシステムにはないことだ。
他よりもより重要な部分がなくなっているから。

張(tension)力

圧縮に対する反対称的な概念は、
張力ではなく引張りである。
物体のある平面において、
引っ張り合う応力が張力である。
張力の反対称的な概念は、
圧縮力である。
この引張りと引張り力と張力は、
未だ不統一だ。
堅くて重い物体が先に統一されてきた。
断面積ゼロの張力材(=万有引力)によって
互いに動的均衡を保っている太陽系という構造システムから、
われわれの惑星は圧縮力を受けている。
この見えない引力と重力を剪断するハサミは存在しない。
90°の回転によるプリセッション以外で。

計画的ホメオスタシス

現存するすべての構造物のなかで、人類の生存に機能している
純粋なテンセグリティ構造物は、
1972年にバックミンスター・フラーが
ノースフェイス社のためにデザインした
量産型テンセグリティドームテント以外には存在しないことに
注目しなければならない。
この世界中のアウトドアの無数のユーザたちは、
いまやテンセグリティという原理を知らなくても
より少ない物質とエネルギーによって、
外的環境が変化しても全体が一定に保たれ、
安全な内部環境を維持する機能については
すでに経験済みなのである。
エンジンのメカニズムには無知であっても
誰でも優れたドライバーになれるように。
これ以上の計画的恒常性(ホメオスタシス)は望めない。

テンセグリティ構造とは何か

その瞬間に、瞬時に、
内部を形成するために最善を尽くすテンセグリティは
絶えず振動する。
生命にとって、静止が存在しないように。
そして、純粋な構造にとって、不動の大地は必須条件ではない。
なぜなら、基礎という疑似的な大地は不要だ。
自動車や飛行機という人工物は、
床はあっても基礎がないからこそ
工場で量産できたのである。
テンセグリティは未来の構造ではない。
構造という人工物をデザインする必要がない
発見された構造原理だ。

魔法

純粋な構造原理を物質化する方法は、
魔法と見分けがつかない。
35年前一つの魔法の再現に挑戦した。
一筆書きの共鳴型の球状テンセグリティモデルのデザインだった。
このもっとも純粋なモデルは、
数カ所のテンション材が破断しても
基本機能は失われなかった。
そして、球状のままバウンドすることができた。
この魔法はいまでもほとんど信じられていない。
多くの場合、張力材の断線に対する恐れと物理的な断絶は、
中央集権的な電力と上下水道の閉じない
非自律型ネットワークに由来する。

テンセグリティ

私はこれまでいくつかの異なったタイプの
テンセグリティ・モデルを発見し、
異なった定義のモデルをデザインしたが、
テンセグリティ・オブジェをまったく作らなかった。
オブジェの美しさでさえ、
これから物質化される純粋な原理の
千分の一の現実にすぎないと感じた時から。
同時に、テンセグリティが発見されるまで、
構造は存在していなかったということを理解した時だ。

テンセグリティの機能

テンセグリティにおける張力も圧縮も局所的にみれば、
各構成要素の重さが変動する相対的な重要性を
形成するように、相互に機能していることが分かる。
この新しい構造とパターンにおいて、
一つの機能は相補的なパターンの一部であり、
それ自体で存在するどんな機能もない。
われわれのエコロジーに対する理解は
ますますテンセグリティに接近している。

指導者

人々は独裁政治をしばしば批判する。
しかし、専門分化の体制も一人の指導者を必要とする。
テンセグリティの自律的構造には見られない物理的組織化である。

構造デザイン

建築家も金属工学者、
そして分子生物学者も構造をデザインしたことはない。
構造をデザインするのは不可能であることを把握するのは、
シナジェティクス(思考の幾何学)である。
つまり、構造はつねに発見されてきた。
テンセグリティのように。

テンセグリティ

何事に対しても足元を固めるように行動する習慣は、
張力さえあれば、
地球も浮かせる歴史よりも、
足場さえあれば、
地球も動かせる歴史が長かったからだ。
しかし、テンセグリティも梃子の原理を利用している。
圧縮材とは、最小限の足場である。
ただし、不連続であることが大地と異なっている。