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動くテンセグリティ

ナマコは肺を持たない。
そして心臓も血管系もない。
目・耳・鼻などの感覚器官はなにもない。
海底に堆積した有機物を食べて水質を浄化する
もっとも無駄のない存在形態である。
5本の放射神経の支配によって、
なまこの構造の強度と形態を変える結合組織は、
微小骨格が圧縮材となった<細胞外運動>を生成する
動く円筒テンセグリティである。

パラドックス

テンセグリティが存在するおかげで、
どれだけ多くの人が
自然の構造に直接触れられることであらうか。
しかし、
テンセグリティは電子顕微鏡や走査電子顕微鏡では、
ついに見えなかったのである。

構造とは何か

ジオデシック球は、球を置換した結果ではなく、
球の定義を単純化した。
テンセグリティは、
構造の定義を単純化した結果ではなく、
非鏡像的な相補性を置換したのである。
生命は構造によって守られ、
構造の不完全さによって生命は失われるが、
そもそも構造の定義は、
テンセグリティの発見まで存在しなかったのである。
ジオデシック構造は、テンセグリティ構造の特殊な場合である。
(一本のストラットは、圧縮力も張力も担っている。)

炭素固定法

炭素固定法は、テンセグリティ・シェルターによって可能である。
あるインタビューから
要旨
超軽量シェルターは戦地や極地以外では効果的ではなかったが、
宇宙が要求するもっとも単純で高度なシェルターの再生デザイン
(=この構造システムは圧縮材も張力材も宇宙でもっとも豊富な炭素から
形成されている)こそは、
21世紀の最大の do more with lessである。
なぜなら、
家を買わなければならないのは、この惑星では人間だけだからだ。 Y.K
http://www.plus81.com/plus/tnf/talk2_1.html

非連続性の概念

テンセグリティは隙間だらけだ。
物質の非連続性は量子物理学によって概念化されたが、
概念モデルを物理学者は発見しなかた。
エネルギーは形態化できない哲学に傾倒してしまった。
テンセグリティの存在は軽くはかなく見えるが、
これほど単純で強靱な美しい有機体はない。
それは人間のデザインではないからだ。
テンセグリティに関するすべての機能は発見されたものだ。
発見された自然はまだ半世紀しか経過していない。

自然のエンジニアリング

テンセグリティは張力統合体である。
だから張力材をゴムひもで代用できると考えやすい。
しかし、ステンレスワイヤーでさえ釣り糸程度かそれ以上に伸びてしまう。  
幾何学モデルとして、テンセグリティモデルの弾性的性質は自由に決めて良いが、
この張力体をゴム材で構成することは、
自動車のタイヤをヤング率の異なった金属や木で
自由にデザインするようなものだ。
つまり、テンセグリティから自然の構造を学ぶなら、
自由な選択には、最適なエンジニアリングの決定的な欠如が
含まれていることに気づくだろう。
フラーレンもナノチューブ(のヤング率)も、
高抗張力の炭素繊維などのテンション材で構成された
テンセグリティ以外ではモデル化できないだろう。
自然が構造の作りやすさのために、原子間の凝集力を犠牲にすることはあり得ない。
最良のエンジニアリングはつねに発見されてきた。

DO MORE WITH LESS 展 ザ・ノース・フェイス40周年

私は、最近もっとも軽量で柔軟な強度のあるテンセグリティ・シェルターの開発に成功した。
これは、デザインサイエンスを実践してきたことの集大成でもある。
バックミンスター・フラー以後のデザインサイエンスの歴史の中では、もっとも単純で実用的な初のテンセグリティ構造である。
実用的なテンセグリティとは、人類の住居(シェルター)のことである。
このプロトタイプを今月スパイラルで展示する予定である。
http://www.goldwin.co.jp/tnf/40th/

有限な責任

お金と交換できるほとんどの仕事は
同時に、有限な責任で交換される。
不連続で非統合的な責任はしばしば偽装を生む。
そして、分断された責任は偽装できる。
偽装は効果的にお金と交換できる。
仕事において、
人間の誠実さは二次的に扱われているが、
テンセグリティの張力のように
連続的に統合する機能がある。
部分的な破壊が全体の破壊に繋がらないのは
この連続した張力のお陰だ。

危険な固体概念

飛行場に置かれた航空機は
マグニチュード 7.8では破壊されていない。
耐震や免震のテクノロジーは柔らかい構造にある。
原子や分子は、気体、液体、結晶質(教科書では固体と呼ばれる)の順に
より小さく振動している。
だれも振動を止めることはできない。
テンセグリティは、もっとも強度のある柔軟な構造である
なぜなら、原子核構造はテンセグリティ原理が発見される前から
柔軟な構造であったから。
バイオスフィアの人工構造物に潜む固体的概念は、
不適合であるばかりか間違った永遠性を偽装する。
自然は固体をデザインしたことはない。