テンセグリティ」カテゴリーアーカイブ

ジョイントレス

テンセグリティモデルにおいて2点間距離を縮小させると
球の直径は拡大されるという原理から
テンセグリティ構造では、全体の張力を高めたい場合は、
一カ所の張力を高めるだけで十分である。
これはわれわれの常識に反する操作の一つである。
私は1995年に気づいたこの原理から
各張力材の張力調節に
ターンバックルを使用しないデザインを構造デザインに応用している。

ターンバックルは張力のジョイントである。
しかし、テンセグリティでは各張力材がターンバックルの機能を担っている。
それは張力材が、連続して統合されているからである。

テンセグリティは、ジョイントレスで成立できる唯一の構造物である。  Y.K

斥力モデル

重力は常に引力であり、斥力としての重力は存在しないが
電磁力(磁力や静電力)には引力と斥力の両方が存在する。
適切にテンションが調節され構成されたテンセグリティモデルにおいて、
互いに隣接する不連続の圧縮材の2カ所をそれぞれの手で保持して、
ゆっくりと確実にその両端を隔てる距離を接近させると、
球系テンセグリティ全体の直径がある範囲内で縮小されるのではなく
拡張されることを観察できるだろう。
この発見は『シナジェティクス』には記載されていないが、
これは一種の斥力であり、最初の電磁気学的モデルでもある。

この原理によって
テンセグリティモデルの張力が正しく機能しているかが検証できる。
もちろんゴム材を使用した疑似テンセグリティモデルなどでは
この原理は検証不能である。  Y.K

斥力モデル=動的なテンセグリティ構造

引力モデル

シナジェティクスを
ゴムひものような弾性のある素材で構成しているテンセグリティモデルで学ぶ
学生たちにあえて助言するとするならば、
宇宙に浮かぶ惑星地球の物理学に接近しなければ、真のモデルとは言い難い。
さらにモデルとは現在の建築学で扱う縮小モデルとも異なっている。
モデルは3Dバーチャルに扱うべきでもない。
モデルは大きさに制限された形態ではないからである。
モデルはメタフィジクスを媒介する思考の言語である。  Y.K

ephemeralization

合金や高抗張力繊維の素材革命によって引っ張強度をますます高めるにつれて、
テンション材をますます長く細くし、
とてつもない長さでありながら同時に断面積がない状態に接近できる。
ただし、テンセグリティを構成するテンション材だけが、
その長さと断面積の比率に限界がなくなるのである。
究極のテンション材は引力である。
宇宙は理想的に構成されている。  Y.K

地球上の建築

テンセグリティモデルの発見によって、
この宇宙での構造に関する同一の法則が
マクロレベルとミクロレベルで作用していることが連鎖的に発見されている。
この〈地球〉的建築とは、ミクロ構造からマクロ構造を造ること、
あるいは見えない構造から見える構造を構築するデザイン・プロセスである。

純粋なテンセグリティ建築に関して、建築基準法は現在適用されない。
運動会用のテントが基礎を持たないように
カテゴリーとしての建築物ではないからだ。
これは、構造と国家の記号体系との見事なズレだ。  Y.K

テンセグリティ

構造はエントロピックであり、エネルギーを放出するのである。したがって、
耐震強度をクリアーしたとしても構造と呼ばれるモノには、固有の寿命がある。

1949年、
構造を通過するエネルギーは構造をシントロピックに変換する場合が発見された。
真の構造はシナジーであり、発散性の圧縮力と収束性の張力との間で起こる
相互作用の結果としてのみ存在する。
構造とは常に動的であり、決して静的ではないということが明白になった。
資源とエネルギーを浪費させない構造は、シナジーを除外してはならない。

冗長度(リダンダンシー)は構造破壊につながるリスクを低減させ、
また、一部が破損したり機能を停止した状態でも、
その機能をある程度保持するために設けられる。
したがって、エントロピックな構造は、冗長度(リダンダンシー)を求めて
よりエントロピックになるが、テンセグリティ構造では、
冗長度(リダンダンシー)を設計から完全に除外しても
安全性をより向上させることができるのは、
決定的な破壊を回避する重要な機能が自己形成されているからである。

しかし、このことが半世紀以上にわたって専門家に理解できないほど、
テンセグリティは常識的ではない。
シナジーはハイブリッドでもないし、波及効果でもない。
シナジーは宇宙の原型なのだ。  Y.K

リンク

リンクにはきりがない。
自然は究極のハイパーリンクの階層構造だ。
インターネットと異なるのは、
人間にも、
30万台あると言われる Google検索ロボットにも、
自然のリンクは永遠に不可視である。  Y.K

異郷

人はそれぞれ異郷に生まれてくる。
そしてそれぞれ故郷を求める。

すべての人は宇宙に生まれて来るにもかかわらず、
すべての異郷を知ることはできない。 

この隔たりが言語を形成した。
そして、言葉によって、
すべての異郷に生きることができる。

宇宙は永遠に異郷であり故郷なのである。
宇宙によって引き裂かれそして抱擁される。  Y.K

作業仮説VS秩序

科学者は、「混沌から秩序をもぎ取る」と言われてきた。
科学者の物理的な実験によってこれまでわかったことは、
自然の先験的な秩序または
科学者の自身の作業仮説を発見させた優雅さで常に作用している宇宙に比べると
彼らのもぎ取った秩序は常に粗雑に見えるということである。  Y.K