グランチ」カテゴリーアーカイブ

夢想家がけっして瞑想しない時

美食家がレシピを作らないように、
音楽愛好家が作曲をしないように、
芸術至上主義者が美を破壊しないように、
観察者が観察法を客観的に否定しないように、
神秘学者が自然の原理を発見しないように、
非現実は至るところにあるから
夢想家が瞑想しない時、
シナジェティクスは現実の泉を発見する。

SYNERGETICS RBF 1975
2面角を一定にして動くオクテットトラス

離脱するためのテンセグリティシェルター(その1)

預金(deposit)の語源は
鉱石・石油などの大地に堆積した自然の富を意味していた。
離脱(withdrawal)とは
預金に対する払い戻し/回収の意味である。
つまり、離脱とはある場所に産みだされた
富を回収する行為であるが、
経済は富を離脱させないように
システムを破綻させる企てなのである。

デザインサイエンスは
人々が自らの力で古い大地から
離脱するためのテンセグリティシェルターをデザインしてきた。

バンアレン帯は放射線帯のシェルター
1958年に米国の物理学者バン=アレンが人工衛星の観測によって発見した。

シナジーに重さは存在しない

テンセグリティモデルが自らの張力を
完全に調整するには少なくとも数日かかる。
私がデザインしたテンセグリティには
自らの張力を熟成させる自動調節機能がある。
テンセグリティモデルをバラバラにしても
その機能は部分には存在していない。
シナジーに重さは存在しない。

放散虫は最小限の素材から殻にシナジー作用をデザインする
人類の住居という殻はまだ自然のように最適化されていない

Acrospaera radiolarian, SEM

自律する空間構造の経験

子どもの時に
テンセグリティモデルを自分の手で作成して
部屋に吊り下げるまでの経験から
空間は自分で作るという考えが自発的に生まれる。
自律する構造を純粋に相補的に分離された
圧縮力と張力という相互関係から
組織化する経験は言語形成に関係する。
空間と宇宙は社会ではもっとも分断された
不均質性をもつ概念である。
 
放散虫は水中の疑似無重力空間で共鳴している。
共鳴はサバイバル機能に違いない。

最後のバックパックはインドアへのトリムタブ

大気圏外宇宙への移住には
水と食料とエネルギー、そして住居を安全に確保する
テクノロジーが必要になる。
一方、最後のバックパックによって
裏庭がもっとも身近な小さな惑星になる。
富裕層がこの小さな裏庭の「宇宙の富」を見捨てた時、
アウトドアはもっとも高価で危険な大気圏外に移行したのだ。
最後のバックパックはインドアへのトリムタブだ。

世界初のプロトタイプ
モバイル・テンセグリティシェルター 2008
直径6.5m 重量30kg 構造材はすべてカーボン製
シナジェティクス研究所 制作 構造デザイン 梶川 泰司

無心さはある種の無知から生まれる

70年代からのR.B.フラー研究所に
研究員として入るのはかなり難しいことだった。
彼が研究した後に草木は何も生えないから、
天才のまだ着手していないシナジェティクスを
探求していなければならない。
私がそれを知ったのは彼が亡くなった後だった。
無心さはその生成方法からは生まれない。
無心さはある種の無知から生まれる。

熟考(Consideration);
星(sider)と星との未知の相互関係の発見に、
既知の知識量はほとんど関与しない。

共鳴テンセグリティのように物質にはつねに隙間しかない

バックミンスター・フラーは20世紀まで継承された
静的幾何学を蹴破ったのではなく
時間のドアを付加したのだ。
共鳴テンセグリティのように
ドアという面は構造には存在しない。
相互作用が原子核構造を形成した結果、
物質にはつねに隙間しかない。
シナジェティクスはドアのない自由で知的な学問だ。

Function of a Balloon as a Porous Network.
SYNERGETICS RBF 1975

破壊の過程に秩序が見える

テンセグリティ構造はモデルの形成過程よりも
その破壊の過程に秩序が見える。
半球状テンセグリティ構造でさえ
落下させても何度もバウンドする。
つまり破壊がどこで終わるのかさえ
まだ分かっていないのだ。
神秘を破壊する希有な物理的実験を知れば
誰でもその内部に居住したいだろう。

バックミンスター・フラーの講義用テンセグリティモデル

現実の入口

モデリングはバックミンスターフラーにとって
限りない神秘だった。
私には現実の入口だった。
知らない言葉が突然理解できる世界の。
それがシナジェティクスだ。
本当のモデリングは生成される前の言語だから
誰にも見えないが存在している秩序なのだ。
ありふれているが宇宙では腐敗しない。

Involution and Evolution SYENERGETICS RBF 1975

宇宙に連休はない

新たな「名詞」が一つ増えただけで
「厳か」になる人々は時代遅れだ。
水と大地、そして食料と住居を
買うばかりだから汚染されたまま
重々しい現実が「厳か」に置換される時でさえ、
宇宙に連休はない。
宇宙の秩序は「動詞」から形成されている。

ルネ・マグリッドの鏡
反対称性のネガティブとポジティブの
革命的宇宙観をもたらした。