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嘘という配慮

忠誠心は嘘をつくことを容認する強制力である。
忠誠心は嘘を合理化するほど高められるシステムで維持される。
しかし、きっぱりと嘘をつかなければ
消耗させていくシステムなのである。
嘘という配慮をモラルにするほど廃れたシステムはない。

不可逆的に

富とは、生活水準を維持するための
人類の生産と分配の諸機能を実現するために
必要な最小限の物質・エネルギーと時間を予測する能力であり、
個人が所有するその富は不可逆的に増加している。
大多数がより賢い消費者に留まっている間にも。
その不可逆的な加速度曲線は20世紀後半まで認識されなかった。

科学史

偉大な科学者の自伝を読むと、
発見は非論理的であるばかりか、
偶然を伴わない飛躍的な発見が存在しなかったことが
誠実に書かれている。

科学史のような歴史的必然が後退しはじめる。
科学史は国家的科学の産物である。
もう一つの現実は、「失敗という神秘」から誘導され続けている。
科学史はこの現実から絶縁したままだ。

遠近法でさえ

観察するためには、感覚器を必要とする。
視神経の束は人間の感覚器では最大となる。
だがその視覚は、自らの不安や欲望によってつねに監視され、
さらに視覚は、言葉と記号によって予め支配されている。
距離感を測定する遠近法でさえ社会構造が反映される。
かつてのインディアンやエスキモーの視力は、望遠レンズ並であった。

ほとんどの観察や理解は、自己の反映ではなく、外部の反映でしかない。
ただ眺めて生きているだけに飽きたとしても、
自然に剥がれ落ちるほどこれまで馴染みの理解からの離脱は簡単ではない。

概念の破壊なくして新たなビジョンは取り出せない。
理解は、観察を超えた自己と宇宙の関係を発見するプロセスに始まる。

予測的人類学

単一な植物を大量に栽培するには、
肥沃な大地に群れとして接近する大型の単一の動物の家畜化が前提だったという人類学は
農業化と酪農化の専門分化を支持してきた。

単一の植物の栽培化と動物の家畜化のための社会構造化から
遊離できる自然農に接近するには、
もっとも経済的で耐久性の高い全天候性のセルフビルドのシェルターが前提となる。
高温と寒冷、そして放射物質から防御するセルフビルドの農業用シェルターも含まれる。

その結果、最小限の田んぼと畑、そして水の再生と
電気エネルギーの自律的な生産が十分に確保できるのである。
これは予測的デザインサイエンスである。

反個性的

異なる経験から他人と異なる考えが生まれるが、
自分に似つかわしいことを経験に取り込むと
われわれは互いに似てしまう。
他人との違いを求めた経験さえも似てしまうだろう。

われわれが(鳥や犬とさえも)互いにどれだけ似ているかが
それらの違いよりも重要だと感じる経験は、
好奇心から生まれる。
好奇心は反個性的デフォルトである。

科学的な窓

科学的な出来事は、純粋さ故に、発明とは異なって、絶対的であり改変できない。
科学的な出来事は、唯一の現実を露わにするために、
無知や虚構で固めた壁に開口した最初は小さな窓なのである。

その窓から差し込む風と光が遮られるまえに
次の新たな窓を探査するのも科学である。