グランチ」カテゴリーアーカイブ

全方向的に思考する存在 Total thinking.

Who are you? と尋ねられたなら
動揺を隠しながら名前と職業を答えるにちがいない。
仕事と寿命が短時間に変容する時代に、
「I am who am I.」の現実は、ますます遠ざかる。
1949年、バックミンスター・フラーは、
「私は全体を全方向的に思考する存在」(Total thinking)」と捉えた。
人間は局所的に分断して部分から思考するシステムから抜け出ようとしている。

SYNERGETICS RBF 1975
Fig. 401.00 Tensegrity Tetrahedron with “Me” Ball
Suspended at Center of Volume of the Tetrahedron:

机上理論を破壊する自然のモデリング

ハイゼンベルグの「観察行為は観察される現象を変化させる」原理によって、
経験は観察する側と観察される側の相互作用を生む。
モデリングは、観察者と観察される理論に分割する行為であり、
机上理論を短時間に変容または破壊する操作主義に至る。
自然のクロノファイルが曖昧な個性と人工物を砕く。

海水中に生育している円石藻類は
球系構造の放射対称性に接近する最初のモデラーである。
シンメトリーの原型をもっとも経済的に形成するための
同型モジュールを採用する。
http://diatomology.org/topics/2014-1/2014-1-2.shtml

個人がシェルターを生産するための思想

地球外で生存できる環境を確立するのは、
科学である。
エネルギーと水と食料を再生しサバイバルする方法は実験済みだ。
そのコストは劇的に低下してきたが、
地球上を移動できない住居は量産されないまま課税される。
個人がシェルターを生産し課税されないようにするのは、
デザインではなく、思想である。

モバイル・テンセグリティシェルター 
直径6.5m 重量30kg カーボン製
デザイン・制作 シナジェティクス研究所 2008年

インタビュー:テンセグリティシェルターの開発の動機と過程について


必要な物が何もない無常観があらゆる場所で充填される

百年前には観測機器さえなかったその場所が
自然災害に遭った場合、
どんな証拠から「百年に一度」が発せられるのか。
(僅か、三百年前、1707年の江戸時代中期に富士山は大噴火しているので
「三百年に一度」も周期的自然)
言葉が世界を様々に解釈する技法と化す時、
過去の間違った前提条件が最初に復旧され、
変革は後回しにされる。
必要な物が何もない無常観が
あらゆる場所で充填されるのが
平時(戦争と戦争の間)である。

エネルギーと水と食料を買わないで生存する方法は科学的に確立されている。
HI-SEAS(Hawaii Space Exploration Analog and Simulation) Mission 3
PHOTOGRAPH BY HI-SEAS/FACEBOOK

直感から直観へ

直感は、しばしば知識によって抑圧され
主観の中に消えていく。
身に覚えのある直感が方法化された時、直観になる。
シナジェティクスは
直観的な思考によるモデル化の過程とその操作方法にある。
それは、形態を超えた実在に到達するための
メタフィジックスによる最短ルートにちがいない。

KAJIKAWA Band すべての多稜体(Polyvertexia)は、閉じて捻れたリングから再生される。
それはメビウスの帯を一般化したシナジェティクスモデルである。
https://www.tensegrity.jp

デザイン・制作 シナジェティクス研究所

反・絶対的虚空としての宇宙

無数の銀河系は、タンポポの種が浮遊していくような
無限空間から生まれなかった。
宇宙と自己との相互関係は、
「色即是空」の絶対的虚空観では捉えられない。
宇宙は、エントロピーよりもシントロピーに満ちている。

「宇宙とは、環境と自己を含むすべて」(バックミンスター・フラー)
私がシナジェティクスに着手したのは、幾何学からではなかった。
身に覚えのある直観からだった。

『宇宙エコロジー』
バックミンスター・フラー、梶川 泰司 著 2004 美術出版社

地球上の既製品を使う自律的技法

私はテンセグリティでこれまで三度行き詰まった。
最初は正確な高張力モデルを作成する技法に。
次は折りたためるテンセグリティ構造を
量産型シェルターに変換する理論に。
最後はそのテンセグリティシェルターを
既製品からのみで再現する経済的方法の発見に。
遂に、誰でも複製できる自律的技法は存在したのだ。

これまでの三度の行き詰まりは、
シナジェティクスが自然を模倣しないからだ。

一方、藻類のシェルターを複製する自律的技法は
1億年前以上に完成している。
同型モジュールから構成される藻類の正12面体状の殻が
構造力学的に安定しているのは
自然素材を完全に再生するための
数学とテクノロジーを習得しているからだ。
彼らにとって、既製品とは元素そのものなのだ。

藻類の破壊されたシェルターでは
正五角形状同型モジュールまでは破壊されていない。

http://www.mikrotax.org/Nannotax3/index.php?dir=Coccolithophores%2FNannolith+families+inc+sed%2FBraarudosphaeraceae%2FBraarudosphaera%2FBraarudosphaera+bigelowii

林檎と農薬を球状にコーティングするワックス

林檎に含まれるリノール酸等の脂肪酸が
林檎表面のろう物質を溶かすのでワックスが溶けたようにべた付く。
自然のワックスは重曹で安全に溶かせるが、
果実と農薬を球状にコーティングしたワックスは、
沸騰した湯をかければ瞬時に洗い流すことが出来る。
林檎が自ら封印した森の新鮮な香りが再生される。

熟したリンゴ表面はろう物質で覆われている。

宇宙の完全無欠性(Integrity)

宇宙よりも、未知よりも、そして、自然よりも、
さらにシナジーを超える宇宙の完全無欠性=Integrityは、
国家という最後の宗教を超え、
哲学や科学をも超えている「もう一つの現実」がある。
外部化する「超遠近法」は主観と客観の境界線を破壊する。

「宇宙は自己を含むすべて」バックミンスター・フラー 1972

「Powers of Ten(パワーズ・オブ・テン)」1968年に作られたこの科学映画は、
21世紀の最新版「Powers of Ten」に進化した。

言葉の二重性と「分断して征服する」政治的相似律

グランチの戦闘機1機分で首里城は復活できる。
菅氏は首里城に関して「沖縄にとって極めて重要なシンボル。
県民のみなさんに心からお見舞い申し挙げるとともに、大変心を痛めている」
この言葉の二重性こそ、
首里城崩落と9.11は、偶然を装った
「分断して征服する」政治的相似律にちがいない。

真の二重性は、複製するために、統合され、決して縺れない。