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包括的思考のクリティカル・パス

ジオデシック・ラインは最短距離であるがクリティカル・パスは最長経路である。
どんな情況になろうとも最悪の現実を回避する経路は最長となる。
最長経路と時間を最短にするためには、
発明や発見によって既に構築されたクリティカル・パス自体を
陳腐化または破壊しなければならない。

それはシナジェティクスとデザインサイエンス
の相互作用でもある。

包括的思考のクリティカル・パス
『クリティカル・パス―宇宙船地球号のデザインサイエンス革命』
バックミンスターフラー 著  梶川 泰司 訳 2008 白陽社

『コズモグラフィー シナジェティクス原論』R.B.フラー

シナジェティクスは構造デザインの手段ではなく
宇宙起源論の過程にある思考の幾何学である。
テンセグリティが観察から発見されなかった科学的方法論を
創出した後に、フラーレンが発見された。
フラーレーンから細胞や放散虫の構造までを一般化する方法は
数学や生物学にはなかった。

☆『コズモグラフィー シナジェティクス原論』 白揚社 (2007/9/1)
バックミンスターフラー 著 梶川泰司 訳

Man knows so much and does so little.(R.B.Fuller)

Man knows so much and does so little.
これは、バックミンスター・フラーの忠告だったのだろうか。
否、天才たちの仕事を伝記のように
尊敬ばかりしている傍観者に
容赦なく飛来する過去からの無人機ブーメランだ。
幸運にも私のテンセグリティ・シェルターに
未だブーメランは来ない。

共振するテンセグリティ、シェルター 直径6.5m カーボン材 重量30kg 
構造とパターン 梶川泰司 シナジェティクス研究所 2008 制作

概念モデルを解明する言語

同一のモデルを異なる方法で知覚することによって
ある発見がなされた時、
発見後もそのモデルを物理的に
何も変化させる必要がない場合がある。
新たな概念モデルを解明する言語が生まれた瞬間である。
経験の偶然性をメタフィジックスからの情報と統合する
生成文法はシナジェティクスである。

プリセッションは天体間の運動だけではない

シナジェティクスは純粋な数学的発見から生まれる。
デザインサイエンスの実践を通じて
シナジェティクスのモデル言語は漸進的変化を遂げ始める。
シナジェティクス諸原理の有用性を実験すればするほど
原寸大プロトタイプの素材選択と生産方法に
最大のプリセッションが突然訪れる。

地球の溶けた中心核による磁性変動

ジャイロスコープを使って一般相対性理論を証明することと
地球の溶けた中心核の磁性変動で磁北が東へ移動していることを
地球の気温が現在低下しつつあることに
だれも相互に関連づけられない。
しかし急激な大規模の気象変動に備える生活器の開発が
電気自動車よりも優先されるのは選択の問題だ。
経済を超えたサバイバルの段階になるだろう。

美的なモデルは概念モデルより先行しない

何か違和感を感じる、考える、推論する、
数学的に判断する、モデルを想像する、直観的にモデリングをする、
それを観る、何か更なる違和感を感じれば、異なるモデルを想像する。
概念の発見がどの段階にあるか未知だが
シナジェティクスモデルは発見されてきた。

美的なモデルは言語化を熟考した後に初めて物質化する。
概念は形態から美的に複製されない。

展開型テンセグリティ構造 直径11m(1995)

阪神大震災の直後、シナジェティクス研究所は5ヶ月間で
コミュニティ用の生活器のための
直径11mの世界初の展開型テンセグリティ構造を開発した。
アルミ合金パイプ 全重量250kg

1995年バックミンスターフラー生誕100年祭(ニューヨーク)で展示された
展開型テンセグリティ構造モデル(直径200㎝)
『宇宙エコロジー』バックミンスターフラー+梶川泰司 著 美術出版社 2004
p352から引用

縁側と裏庭に始まる自己教育システム

私が最初に制作したシナジェティクスモデルは、
ベクトル平衡体とテンセグリティだった。
縁側と裏庭でシナジェティクスとそのモデリングで過ごしていた時間は、
20年後、展開型のテンセグリティ・シェルターの空間に変換された。
やがて春の裏庭は自動気象ミニバイオスフィアになるだろう。

1995年バックミンスターフラー100年祭(ニューヨーク)で展示された
展開型テンセグリティ構造モデル(直径200㎝)
http://synergetics.jp/tensegrityblog/