ノウハウ(Know How)は、知識である。
知識には、何かを知るための動機(目的意識=Know Why)は含まれない。
しかし、動機には動機とは何かを知る経験が含まれる。
優れたノウハウを模倣することは学習であるが、
固有な動機を模倣する人は詐欺師である。
「コスモグラフィー」カテゴリーアーカイブ
考える自由( Freedom to Think)
誰でも生きるために生活費を稼ぐ必要性によって
非効率的にならざるを得ない場合、
間違った自惚れに支配されやすくなる。
考える自由さえも経済に支配され、
ただ生きている情況を信頼していない他者と共有し始める時に、
微かに絶えず押し寄せる考える自由は宇宙に属する。
「互いに掛け替えられる」存在
どんな製品にも理論にも死が訪れる。
「掛け替えのない」アイデアは存在しない。
アイデアは無尽蔵的に、欠点は次々と発見される。
そして、人間が思考した存在ではない原理だけが生き残る。
92の有限な元素が「互いに掛け替えられる」ように。
予測的デザインサイエンスの最優先課題
テンセグリティ構造をより少数のアボリジニ(aborigine)のための
生存装置としての生活器をデザインすることは、
最晩年のバックミンスター・フラーが次世代に託した
予測的デザインサイエンスの最優先課題の一つであった。
実際、その35年後の奪われた大多数でさえ
より少数に分裂した情況にいる。
テンセグリティ・ネットワークの補償作用
構造化され自律したテンセグリティは
元素のように対称的なモジュールから構成できる。
非構造的なテンセグリティでは、ネットワークの一部分が破断した場合、
全体が瞬時に崩壊するほどネットワークの補償作用は完全に欠如するが、
テンセグリティを人類の生存空間として構築しない場合に限られる。
大きさの制限がない構造
バックミンスター・フラーはテンセグリティ構造には
大きさの制限がないという一般化された理論を構築した。
一方、テンセグリティはどれほど小さくなっても構造だから
動植物に共通した細胞という単位(cell)に限らず
原子核までテンセグリティ構造になっている。
Donald Ingber’s Tensegrity Cell Structure
Cells contain a highly complex network of tensioned filaments and compressed microtubules that form eukaryotic cytoskeletal construction.
理解するという機能
理解とは、これまで見えなかった秩序を発見する行為である。
理解するという機能の存在を理解する試み自体さえも
宇宙の秩序の一部である。
秩序は異なる経験の相互の関係に宿る。
殻の厚み
住居の平均的な壁の厚みは30センチ程度である。
部屋の幅が6m程度とすると、
その厚みは幅の20分の一となる。
人間の頭蓋骨の平均の厚さは6mm 程度で
直径との比率は40分の一以下である。
鳥の卵の殻の厚みと卵の直径の比率は80分の1以下である。
適切にデザインされたテンセグリティ・ジオデシックドームの
その比率は200分の一以下となる。
モバイルテンセグリティ構造の壁は
圧縮材ではなく張力材として機能すべきである。
共鳴型テンセグリティ構造 直径6.5m 重量30kg
「原子はテンセグリティであり、その構造システム全体には〈固体〉などもはや存在しない(RBF)」
テンセグリティ・シェルターはリダンダンシーを完全に排除した物質の結合状態を露わにした。
その機能は、これまでのすべての産業社会を支配する経済理論(収穫逓減の法則)に反しているだろう。
共鳴型テンセグリティシェルター 直径6.5m 重量 30キロ
制作 シナジェティクス研究所 梶川泰司 2008年
尚、このプロトタイプは、シナジェティクス研究所が研究開発し
ザ・ノースフェイスの40周年のスパイラルでの展示のためにザ・ノースフェイスにレンタルされた。
現在シナジェティクス研究所が所蔵している。
再生的な動機(Know Why)
動機から試行錯誤が生まれ、
試行錯誤が思考を生み、
思考が概念を生み、
概念が素材と道具の組合せのデザインを決め、
あるいは素材と道具の組合せが別のデザインを決める。
道具も素材も異なった言語だから、
すべての異なる言語との統合が新たな生活空間を生み、
生活が自分以外の環境を変え。
環境が生活を、次に概念、
そして思考を変え、新たな動機を生む。