レシピは秘法の集積かもしれない。
料理は見えない生化学反応の連続だ。
知識もまた同じである。
相互作用する順序やタイミングを無視すると、
かなりまずい結果になるだろう。
知識も複雑な生化学反応をする。
レシピ(recipe)とはreceiveであり、受け取ることである。
しかし、思考とは受け入れることではない以上、
思考のレシピは、存在しない。
思考の自発的な生化学反応は、個人の経験から生まれる。
「シナジェティクス」カテゴリーアーカイブ
「数えられる無」の脅迫
ゼロ円生活、ゼロ金利、残高ゼロ、
これらはゼロの使い方の一部だ。
ゼロという無限を対象化した概念と記号化の革命によって
「数えられない無限観」から人類を解放した歴史が忘れ去られ、
富と借金を合計するとゼロになる経済学から信じ込まされたのだ。
「数えられる無」に怯えさせるために。
料理は複雑な生化学反応
料理はしばしば創作と言われるが、
人間の身体のような複雑な生化学反応であり、
人間には食物の調理方法の発見しかできない。
料理のレシピから食物に対する神聖さが後退した時に、
「料理を作る」という言葉が生まれた。
私は出来るだけ外食はしない。
料理こそ身体の環境デザインだから。
科学の探求方法さえも編み出す動機
優れた着想を練り上げるための
科学論文の記述方法のウハウなどは
専門分化に従事する専門家たちの自惚れである。
原理の発見者とその概念化におけるパイオニアには、
論文審査や熱狂的な投稿とは無縁な段階がある。
シナジェティクスは、純粋科学における
探究方法さえも編み出す動機から始める。
動機(Know-Why)
動機は、間違いの神秘から誘導される非論理的な最初の経験だ。
直観的で根源的なメタフィジカルに接続するまでの。
教科書
科学では、理論を学習するために実験する。
優れた科学者は実験から理論を作る。
偉大な科学者は原理を発見する。
しばしば、科学的ではない方法で。
その発見後に、優れた科学者たちが実験するが
原理の発見者が教科書を書く歴史はない。
真実の思考の過程はつねに編集されている。
詐欺師(imposter)の想像力
他人になりすまして他人を欺くはずの詐欺師が
他人の独創性を盗んだ場合、
他人の経験を自分に対して欺し続けなければならない。
(自分の内部に自己宣伝用ポスターを貼り続ける)
しかし、アイデアを考案した動機までも盗めない。
しかしアイデアを考案した動機までも盗めない。
偶然性と間違いの神秘が織り成す動機のリアリティは、
動機の具体性を置き換える想像力がない場合は再現不可能だ。
包括的思考のクリティカル・パス
ジオデシック・ラインは最短距離であるがクリティカル・パスは最長経路である。
どんな情況になろうとも最悪の現実を回避する経路は最長となる。
最長経路と時間を最短にするためには、
発明や発見によって既に構築されたクリティカル・パス自体を
陳腐化または破壊しなければならない。
それはシナジェティクスとデザインサイエンス
の相互作用でもある。
包括的思考のクリティカル・パス
『クリティカル・パス―宇宙船地球号のデザインサイエンス革命』
バックミンスターフラー 著 梶川 泰司 訳 2008 白陽社
『コズモグラフィー シナジェティクス原論』R.B.フラー
シナジェティクスは構造デザインの手段ではなく
宇宙起源論の過程にある思考の幾何学である。
テンセグリティが観察から発見されなかった科学的方法論を
創出した後に、フラーレンが発見された。
フラーレーンから細胞や放散虫の構造までを一般化する方法は
数学や生物学にはなかった。
☆『コズモグラフィー シナジェティクス原論』 白揚社 (2007/9/1)
バックミンスターフラー 著 梶川泰司 訳
Man knows so much and does so little.(R.B.Fuller)
Man knows so much and does so little.
これは、バックミンスター・フラーの忠告だったのだろうか。
否、天才たちの仕事を伝記のように
尊敬ばかりしている傍観者に
容赦なく飛来する過去からの無人機ブーメランだ。
幸運にも私のテンセグリティ・シェルターに
未だブーメランは来ない。
共振するテンセグリティ、シェルター 直径6.5m カーボン材 重量30kg
構造とパターン 梶川泰司 シナジェティクス研究所 2008 制作