シナジェティクス」カテゴリーアーカイブ

ベクトル平衡体の発見

大理石でモデリングされた
プラトンの正多面体(Platonic Solids)は、
物理学による宇宙の実在性の代理は果たせなかった。
その世界観を変えて、幾何学を変えるまで数千年間もかかっている。

1944年、バックミンスター・フラーのベクトル平衡体の発見によって
稜線がストラットに、面が窓に、そして、頂点がジョイントに変わるまで、
動的宇宙は、幾何学に反映されなかったのである。

情報の拡散に比べて、
自然に横たわる原理とその概念化への理解は実にのろまである。

SYNERGETICS
Fig. 460.08 Symmetrical Contraction of Vector Equilibrium: Jitterbug System:

方法の蓄積

「数打てば当たる、ノウハウはそれで貯まる」といった
専門家たちを信じてはいけない。
当たる的があることが前提のどのようなノウハウからも、
新しい方法や課題には遭遇できないからだ
問題を解く方法に新たな問題を発見する方法は、含まれない。
ノウハウの蓄積のみに、未来はない。
ノウハウの破壊が含まれないから。

直径と赤道

円を直径で分割すると等しい半円になる。
コンパスで描いた円周を直線が横切った時、その線分が合同な半円を形成する場合の
「境界線を通過する測定方法(Dia+meter)」を、直径と定義した。
球の場合は、体積を2等分する最大の境界面を形成する円周を
赤道(equator)と定義した。
しかし、中世では赤道が「昼夜を等分に分ける帯」として天動説に利用された。
構造と意味の変換と編集が行われている。

地動説に現れる赤道と同心円状の帯

反個性的

異なる経験から他人と異なる考えが生まれるが、
自分に似つかわしいことを経験に取り込むと
われわれは互いに似てしまう。
他人との違いを求めた経験さえも似てしまうだろう。

われわれが(鳥や犬とさえも)互いにどれだけ似ているかが
それらの違いよりも重要だと感じる経験は、
好奇心から生まれる。
好奇心は反個性的デフォルトである。

科学的な窓

科学的な出来事は、純粋さ故に、発明とは異なって、絶対的であり改変できない。
科学的な出来事は、唯一の現実を露わにするために、
無知や虚構で固めた壁に開口した最初は小さな窓なのである。

その窓から差し込む風と光が遮られるまえに
次の新たな窓を探査するのも科学である。

机上のテンセグリティ

テンセグリティにおいて、まったく静的な状態は存在しない。
識別できない、または認識できないほどの秩序が物質化されている。
シナジー作用は、つねに動的で不可視であるが、それ故に、
落下できない、あるいは落下させない机上のテンセグリティは
例外的な人工物である。
宇宙の原理は、どんな美的な対象化からも
素速くすり抜けるだろう。

原型モジュール

バックミンスターフラーによる初期のシナジェティクスモジュールは、
より小さい構成要素による構造を仮定したクォークモデルの発見よりも早い。
この事実は類似に基づいた思考方法に依存しないシナジェティクスを特徴づけている。

シナジェティクスは、体系的な言語化からではなく、
外部の原型からくる情報の直観的な解読に成功している。

シナジェティクスモジュール

シナジェティクスは、空間充填システムを構成するモジュールを発見している。
私は、プラトンの正多面体を構成するシナジェティクスモジュール群が、
他の準正多面体を再構成することを発見した。(1990年)
一つの要素が他のすべての要素との関係において初めて決定される多層的な相互作用なくして
どんなモジュールも発見されていない。
そして、構造を構成するモジュールは、構造から遊離した独立性を持たない。