テンセグリティ」カテゴリーアーカイブ

構造の定義は変容する

シナジェティクスには日々発見がある。
テンセグリティについて昨日の発見を思い出して
ほとんど何も分かっていないことを知ると、
それだけで構造の定義は変容する。
私のスタジオは高い天井までモデルだらけで
テンセグリティに引越すしかなかったのが
テンセグリティにとって最大の変化だった。

バイダルカが外洋を航行できるように
テンセグリティは大陸の表面を航行するために
浮遊するほど軽量だ。

動く組立ライン

テンセグリティシェルターは
互いに遠隔地にいるアセンブラーとの対話と
既製品との相互関係が作り出す張力から
デザインされるまったく新しい空間構造なのだ。
テンセグリティシェルターの動く組立ラインは
外部のロジスティクスと
内部のシナジェティクスとの共存から形成される。

互いに遠隔地にいるアセンブラーとの対話からデザインされた
テンセグリティシェルター 2008 
シナジェティクス研究所 制作 構造デザイン 梶川 泰司

美よりも包括的な宇宙の原理

科学的原理をモデル化しただけでは芸術作品にはならない。
テンセグリティに美を求めるよりも
構造原理を応用する仕事がなぜ優先されなかったのか。
美よりも包括的な宇宙の原理を
フラーから学んだスネルソンが
シナジェティクスを発展できなかったのは
欲望による概念の所有にある。

Tensegrity
SYNERGETICS R.B.Fuller 1975

美よりも包括的なテンセグリティ

生物学では細胞という概念を考えた人が
最初に細胞を発見した人だ。
ケネス・スネルソンの傲慢さは
バックミンスターフラーが発見した
テンセグリティの原理と概念を
自分の彫刻の作品名にしたことだ。
スネルソンはフラーの概念から
圧縮材が不連続なテンセグリティ作品を作り始めている。

シナジェティクス3

バックミンスター・フラーに出来なかったことは、
テンセグリティシェルターの中で
シナジェティクス3を書くことだった。
彼の60年代の自宅はジオデシックドームだった。
20年以上の耐候性のある皮膜や張力材が
まだ存在していなかったからではない。
モバイル用のテンセグリティ原理が
まだ発見されていなかったからだ。

テンセグリティ構造 SYNERGETICS RBF 1975

インテグリティ(integrity)が物質化される時

構造原理の純粋さから
テンセグリティをアセンブルするプロセスに
宇宙のインテグリティ(integrity)が物質化される時、
その先験的システムに予想を超えた驚くべき物理現象が現出する。
テンセグリティシェルターは
強風や豪雨、豪雪や猛暑の気候変動に
共鳴しながらより熟成していく。
それは秘密にすべき空間だったのだ。

Earth Global Circulation_

シナジーを視覚化したモデル

テンセグリティモデルは
シナジーを視覚化した有機的な非生命モデルだ。
どんな部分の働きからも推測できない
全体のシステムの働きを理解する時、
全体を変えない限り
どんな部分の働きも変わらないことが実験できる。
自分を変えても人間が変わらない場合、
自分が部分の寄せ集めだからだ。

共鳴テンセグリティモデル シナジェティクス研究所 制作 
外力分散用ジョイントによって共鳴作用がより鋭敏に短時間になる。

離脱するためのテンセグリティシェルター(その1)

預金(deposit)の語源は
鉱石・石油などの大地に堆積した自然の富を意味していた。
離脱(withdrawal)とは
預金に対する払い戻し/回収の意味である。
つまり、離脱とはある場所に産みだされた
富を回収する行為であるが、
経済は富を離脱させないように
システムを破綻させる企てなのである。

デザインサイエンスは
人々が自らの力で古い大地から
離脱するためのテンセグリティシェルターをデザインしてきた。

バンアレン帯は放射線帯のシェルター
1958年に米国の物理学者バン=アレンが人工衛星の観測によって発見した。

シナジーに重さは存在しない

テンセグリティモデルが自らの張力を
完全に調整するには少なくとも数日かかる。
私がデザインしたテンセグリティには
自らの張力を熟成させる自動調節機能がある。
テンセグリティモデルをバラバラにしても
その機能は部分には存在していない。
シナジーに重さは存在しない。

放散虫は最小限の素材から殻にシナジー作用をデザインする
人類の住居という殻はまだ自然のように最適化されていない

Acrospaera radiolarian, SEM

自律する自然の構造物

住居にはまだ誰も採用していないが
放散虫やウイルス、そして
われわれの細胞から隕石やナノチューブまで
テンセグリティはありふれた構造だ。
先験的デザインが豊富に存在するにもかかわらず
社会はつねに宇宙から遠ざかっている。
テンセグリティが超軽量で経済的に
自律できる自然の構造だから。

落雷と隕石の衝突からも発見されるフラーレンは
ダイヤモンドよりも硬いテンセグリティ構造。
粒子と波動の二重性がある粒子は安定している。
Fulereno C540.