テンセグリティ」カテゴリーアーカイブ

「生活器」は「武器」の反対称的概念

張力の反対称的概念は圧縮力である。
張力材の反対称的概念は圧縮力材である。
圧縮力材ではなく、
圧縮材という言葉で代用される限り、
言語の不在から純粋な構造は構築できない。
武器の反対称的概念は生活器であるが、
移動型テンセグリティ構造は、
武器を溶かしても生産できない。

理解は波動から

読んでばかりいると書けるとは限らない。
書いてばかりいると話せるとは限らない。
準備しないで話しながら考えると、
読んだり書いたりするよりも
隠れた関係を自分で発見することが多くなる。
ほとんどの教育課程から、
散歩しながら信頼できる他者と話す方法は廃れた。
単純で深い理解は波動から始まる。

共鳴テンセグリティ構造

テンセグリティの機能は形態から認識できない。
落下しても破壊されない時、
テンセグリティの強度は素材から予測できない。
素材を高度化してもシナジーが向上しない時、
テンセグリティは軽量化の度合いから判断できない。
その澄んだ共鳴音を聴かない限り
安全でも美的でもないのだ。

放散虫は、水中の疑似無重力空間で共鳴している。
共鳴はサバイバル機能に違いない。

彫刻家ケネス・スネルソン

生活空間としてテンセグリティは危険すぎると考えたスネルソンは、
テンセグリティの自律的な外力分散システムや付加的でない
自然のリダンダンシーに対して無関心なまま、
テンセグリティ彫刻を作り続ける間に、
彼の60兆個の細胞は安全なテンセグリティ構造を
既に採用している現実が発見された。

Man knows so much and does so little.(R.B.Fuller)

Man knows so much and does so little.
これは、バックミンスター・フラーの忠告だったのだろうか。
否、天才たちの仕事を伝記のように
尊敬ばかりしている傍観者に
容赦なく飛来する過去からの無人機ブーメランだ。
幸運にも私のテンセグリティ・シェルターに
未だブーメランは来ない。

共振するテンセグリティ、シェルター 直径6.5m カーボン材 重量30kg 
構造とパターン 梶川泰司 シナジェティクス研究所 2008 制作

プリセッションは天体間の運動だけではない

シナジェティクスは純粋な数学的発見から生まれる。
デザインサイエンスの実践を通じて
シナジェティクスのモデル言語は漸進的変化を遂げ始める。
シナジェティクス諸原理の有用性を実験すればするほど
原寸大プロトタイプの素材選択と生産方法に
最大のプリセッションが突然訪れる。

生活器にテンセグリティ構造を統合する仕事

生活器にテンセグリティ構造を統合する仕事は
デザインサイエンスの課題だった。
シナジェティクスに求めても完成しない領域だった。
しかし、生活器の複製にグランチの大量生産技術に依存する限り
遅延するばかりだ。
既製品だけを使用することで経済性と耐久性を備え、
組立・分解が個人で可能な
直径7mのモバイル・テンセグリティシェルターの
可能性は2018年まで存在しなかった。

展開型テンセグリティ構造 直径11m(1995)

阪神大震災の直後、シナジェティクス研究所は5ヶ月間で
コミュニティ用の生活器のための
直径11mの世界初の展開型テンセグリティ構造を開発した。
アルミ合金パイプ 全重量250kg

1995年バックミンスターフラー生誕100年祭(ニューヨーク)で展示された
展開型テンセグリティ構造モデル(直径200㎝)
『宇宙エコロジー』バックミンスターフラー+梶川泰司 著 美術出版社 2004
p352から引用

縁側と裏庭に始まる自己教育システム

私が最初に制作したシナジェティクスモデルは、
ベクトル平衡体とテンセグリティだった。
縁側と裏庭でシナジェティクスとそのモデリングで過ごしていた時間は、
20年後、展開型のテンセグリティ・シェルターの空間に変換された。
やがて春の裏庭は自動気象ミニバイオスフィアになるだろう。

1995年バックミンスターフラー100年祭(ニューヨーク)で展示された
展開型テンセグリティ構造モデル(直径200㎝)
http://synergetics.jp/tensegrityblog/

より鋭敏に共鳴するテンセグリティ構造

テンセグリティ構造はジョイントレスだ。
連続したネットワーク全体が超軽量化のジョイントになる。
強い衝撃を受けてもテンション材が破断しないように、
外力を回転運動で効果的に分散するテンセグリティ・ジョイントによって、
より鋭敏に共鳴するテンセグリティ構造を発見した。

Rezonated 30-struts-tensegrity
シナジェティクス研究所 制作 2007年