テンセグリティ」カテゴリーアーカイブ

飛躍的な強度の向上は想像できない

超軽量化された飛行機のように、
外観からは想像できないテンセグリティ・シェルターの性能は、
より重要な部分がない構造とパターンの秩序(シナジー)から生まれる。

飛躍的な強度の向上を予測できる情報は
圧縮材や張力材そして皮膜やジョイントなどの
すべての部分に宿らないのである。
より重要な部分を排除するために。

外力を分散するテンセグリティ・ジョイント

私は、THE NORTH FACEのケネス・ハップ・クロップ氏に
6本の圧縮材から構成した
テンセグリティモデルをプレゼントした。
黒炭から切削した12個のテンセグリティジョイントは、
外力を受けるとパイプの各端部で
回転する機能があるので、
落下してもボールのように何度もバウンドできる。

外力分散機能のある12個のジョイントから構成された
テンセグリティ・ジョイントで構成された
6-Struts Tensegrity シナジェティクス研究所 制作 2008

石器時代の固体概念から抜け出す

フラーによるテンセグリティ原理が発見されるまで
石器時代の固体概念から抜け出すために250万年が経過しなければならなかった。
さらにテンセグリティ原理のシナジー作用から
基礎のないテンセグリティシェルターがデザインされるまで約80年を要したが
核物理学にはその概念は未だ登場しない。

アナーキーな動的均衡

静的で固体的な安定を求める願望こそが無秩序の原因なのである。
テンセグリティの構造安定性を形成する振動は動的秩序をもたらす。
動的均衡を制御する構造は
本質的にアナーキーな(an-archi)主たる存在がない自然の秩序によって、
破壊を遠ざける振動数にするために
絶えず共振しながら安定する。

共鳴型テンセグリティモデル 直径100cm シナジェティクス研究所 制作 2008

テンセグリティ・シェルターの内部 直径6.5m カーボン製

テンセグリティ構造の生活器としての可能性をTHE NORTH FACEの40周年で
来日した創業者ケネス・ハップ・クロップ氏と対話した。
バックミンスターフラーにデザインを依頼したモデルがテンセグリティシェルターの内部に設置された。

シナジェティクス研究所が開発した直径6.5m重量30キロのカーボン製のテンセグリティシェルター
ハップ・クロップ氏と共にテンセグリティシェルターの内部にて。青山スパイラル 2008年

作業仮説のための作業仮設シェルター

シナジェティクスは、
国家も企業も「思考する自由」を行使する人間を雇用できないという
作業仮説(Working Assumption)から始まる。

火星よりも安全で安価で気楽な自動気象装置を個人が複製できる時代に
その作業仮設用(Temporary Working Structure)の
モバイル・テンセグリティシェルターが
もっとも信頼できる全天候用サバイバル生活器となる。

作業仮設用モバイル・テンセグリティシェルターのプロトタイプ
シナジェティクス研究所 制作2008 デザイン 梶川泰司 

折りたためるテンセグリティ構造

自然から発見された純粋な折りたためる構造、
たとえば、DNA構造は生存のための複製機能としてデザインされている。
晩年のバックミンスター・フラーは全世界での講義用に
折りたためるテンセグリティ構造をデザインしていた。
デザインサイエンスは、
生存のための純粋な展開型のテンセグリティ構造を複製する。

アウトドアにドアはなかった

近い未来よりも
遠い場所に喜びを求めて
人々が移動する時、
アウトドアにドアはなかった。
剥き出しのヒロシマは絶えることはないだろう。

見捨てられたありふれた畑を探して
超軽量の2層ミニバイオスフィアに棲み、
井戸を掘って微生物と共に畑をこしらえる。

裏庭のドアを開けてCosmic Fishingに出かける時、
静かな生活は何処にでも降りてくる。

裏庭に朝がやってくる前に

夜明け前に凛とした冷気で目覚めた時、
南東の空に金星と木星が輝いている。
次に土星が、遂に太陽が昇る前に
透明なシェルターの薄く覆った球状の氷結をストーブで溶かそう。
放射冷却でより広くなった裏庭を眺められるように
内部に最初の太陽を注ぐのだ。

モバイル・テンセグリティシェルターのモジュール

テンセグリティ構造は植物の飛行する種子のようなサバイバル方法と調和する。
すでに無人機で運べるほどモバイル・テンセグリティシェルターは超軽量である。
折りたたんだモバイル・テンセグリティシェルターは車の後部トランクにも格納できる。

直径6.5mのモバイル・テンセグリティシェルターの2種モジュール
カーボン製 全重量30kg シナジェティクス研究所 研究開発・プロトタイプ制作 2008